與力よりき)” の例文
新字:与力
このはなし但馬守たじまのかみが、與力よりきからいて、一そう玄竹げんちくきになつたのであつた。それからもうひとつ、玄竹げんちく但馬守たじまのかみよろこばせた逸話いつわがある。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
南北の與力よりき五十騎、同心二百四十人、その配下の岡つ引は何百人とも知れませんが、誰にも指も差させなかつたのでした。
たつすれば殺生禁斷せつしやうきんだん場所ばしよあみおろせしと見ながら其儘そのまゝ差置難さしおきがたし此度は自身じしんまゐるべしとて與力よりき二人を召連めしつれ阿漕が浦にいたれば其夜も徳太郎君れいの如くあみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いちは殆どかうなるのを待ち構へてゐたやうに、そこにうづくまつて、懷中から書附を出して、眞先にゐる與力よりきの前に差し附けた。まつと長太郎も一しよに蹲つて禮をした。
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
平生へいぜいは一ぽんきりしてゐないけれども、二本帶ほんさしてある資格しかくつてゐて、與力よりき京武士みやこぶしあとまはらなくてもいいだけの地位ちゐになつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
伴うて間毎々々まごと/\にはり向の物置部屋へ案内したり爰には數十人の與力よりき同心どうしんばんをなし言語同斷の無禮を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
堺奉行の與力よりきとして、なか/\の腕利きと噂され、異人の取引にも、いろ/\手柄を立てましたが、拔け荷のことから妙な噂が立ち、御役御免になつて江戸に歸り、そのまゝ五年、七年
西町奉行にしまちぶぎやう荒尾但馬守あらをたじまのかみが、江戸表えどおもてから着任ちやくにんするといふので、三十與力よりきは、非番ひばん同心どうしんれて、先例せんれいとほ守口もりぐちまで出迎でむかへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
徳太郎君此處ここへも到り夜々よな/\あみおろされける此事早くも山田奉行やまだぶぎやう大岡忠右衞門きゝて手附の與力よりきに申付召捕めしとるにはおよばず只々嚴重げんぢう追拂おひはらふべしと申ふくめければ與力よりき兩人その意を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
八丁堀の與力よりき笹野新三郎の役宅、主人の新三郎はその日、鈴ヶ森の磔刑はりつけに立ち會つて、跡始末が遲れたものか、まだ歸らず、妻のお國は二三人の召使を供につれて、兩國の川開きを見物かたがた