さが)” の例文
樵夫そまやとふてぼくさがす、このくら溪底たにそこぼく死體したいよこたはつてる、東京とうきやう電報でんぱうつ、きみ淡路君あはぢくんんでる、そしてぼくかれてしまう。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
散々さがしまわったお石が、とうとうそれを見つけ出して、何ぞのときの用心にと、肌身離さず持っていようなどとは、夢にも知らなかった。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私は隣室から二人の樣子を伺ひながら、よくもあんなに女のあらゆる角度をさがしてからかはれたものだと感じ入つた。
榛名 (旧字旧仮名) / 横光利一(著)
が、彼の頭脳は、以上のすべてを別として、ほかに自分を正当づける理由をさがすのに、さして困難はしなかった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
困りしは立像刻む程の大きなるよき木なく百方さがしたれど見当らねば厚きひのきの大きなる古板を与えぬ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ひながらも王樣わうさまは、名簿めいぼ彼方此方かなたこなたさがしてられました、ところであいちやんは、つぎなる證人しようにんんなのだらうかとしきりにたくおもひながら、じつ白兎しろうさぎ瞻戍みまもつてました、がやが
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
母親は呉と相談して女の居所を探したが、名もわからなければ家もわからないので、その年恰好の容色の佳い女のいそうな家を聞きあわして、それからそれとさがしてもどうしても解らなかった。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
十兵衛と呼ばれたのは、二十四、五歳の白皙明眸はくせきめいぼうな青年で、書庫の書棚から、本でもさがし出していたところか、数冊の書を手にかかえながら、その窓口に、半身を見せていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)