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素焼
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すやき
ふりがな文庫
“
素焼
(
すやき
)” の例文
旧字:
素燒
素焼
(
すやき
)
の
土偶
(
でく
)
は粉になって、四方へ破片を飛ばしたのです。すると、その樹のうしろあたりから、あっと言って姿を見せた男女がある。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこに巨きな鉄の
罐
(
かん
)
が、スフィンクスのように、こっちに向いて置いてあって、土間には沢山の大きな
素焼
(
すやき
)
の壺が列んでいました。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
娘は例のごとく
素焼
(
すやき
)
の
甕
(
かめ
)
を頭の上に載せながら、四五人の部落の女たちと一しょに、ちょうど
白椿
(
しろつばき
)
の下を去ろうとしていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
花壇の隅に伏せられた
素焼
(
すやき
)
の植木鉢に
覘
(
ねら
)
いをつけたのでありましたが、
轟然
(
ごうぜん
)
たる響きと共に鉢は
粉
(
こ
)
に砕けます。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
如何
(
いか
)
にも京都の宿屋らしいと、わたしは、屋根にある桃の鉢を両手にかかえて机へ置いて眺めた。いい苔の色をしていて、
素焼
(
すやき
)
だけれど、鉢は備前焼のような土色をしていた。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
そしてそんな
物々
(
ものもの
)
しい
駄目
(
だめ
)
をおしながらその女の話した薬というのは、
素焼
(
すやき
)
の
土瓶
(
どびん
)
へ鼠の仔を捕って来て入れてそれを黒焼きにしたもので、それをいくらか
宛
(
ずつ
)
かごく少ない分量を飲んでいると
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
彼は子供が母に
強請
(
せび
)
って買ってもらった草花の鉢などを、無意味に縁側から下へ
蹴飛
(
けと
)
ばして見たりした。赤ちゃけた
素焼
(
すやき
)
の鉢が彼の思い通りにがらがらと
破
(
われ
)
るのさえ彼には多少の満足になった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
火消壺
(
ひけしつぼ
)
等種々土を
以
(
も
)
つて造る所ゆゑ自然子供への玩具も作り、浅草地内、或は東両国、回向院前等に
卸売見世
(
おろしうりみせ
)
も数軒ありて、ほんの
素焼
(
すやき
)
に
上薬
(
うわぐすり
)
をかけ、
土鍋
(
どなべ
)
、しちりん、小さき食茶碗、小皿等を作り
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
それから手ごろな
素焼
(
すやき
)
の瓶が一つ、この男の枕もとに置いてあるが、これも中に何がはいつてゐるのだか、わからない。
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
柴田、
佐々
(
さっさ
)
は同じ型のうぬぼれ男だ。永禄年代の武人型といえよう。同じ
瓶割
(
かめわ
)
り
流
(
りゅう
)
でも、柴田は大ガメじゃが、
佐々
(
さっさ
)
は
一
(
ひと
)
まわり小さい
素焼
(
すやき
)
のカメである。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朱柄
(
しゆえ
)
の
麈尾
(
しゆび
)
をふりふり、裸の男にたからうとする
虻
(
あぶ
)
や蠅を追つてゐたが、
流石
(
さすが
)
に少しくたびれたと見えて、今では、例の
素焼
(
すやき
)
の瓶の側へ来て、七面鳥のやうな恰好をしながら
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また、その人体は、人間の化した
死蝋
(
しろう
)
でも
木乃伊
(
みいら
)
でもありません。生まれながら霊魂も肉体も持たない
素焼
(
すやき
)
の
土偶
(
でく
)
で、きわめて原始的な工法で焼かれた赤土の
埴輪
(
はにわ
)
であります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
苔蒸
(
こけむ
)
した
井筒
(
いづつ
)
に
溢
(
あふ
)
れる水を
素焼
(
すやき
)
の
甕
(
かめ
)
へ落していたが、ほかの女たちはもう水を
汲
(
く
)
み
了
(
お
)
えたのか、皆甕を頭に載せて、しっきりなく飛び
交
(
か
)
う
燕
(
つばくら
)
の中を、家々へ帰ろうとする所であった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“素焼(素焼き)”の解説
素焼きあるいは素焼(すやき、la: terra cocta、it: terra cotta、en: terracotta、テラコッタ)とは、
粘土を、釉薬をかけないまま、(焼き物としては)比較的低い温度で軽く焼き固める(焼成する)方法、およびそうしてできた焼き物のこと。釉を施さずに焼いた陶器。
最終的には釉薬をほどこした陶磁器を作る場合に、「本焼き」に入る前の段階として、成形した粘土を、一旦釉薬をかけずに焼き固めることや、そうしてできたもののこと。
(出典:Wikipedia)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
焼
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素性
素振
素気
素朴
素足
素姓
素破