紙入かみい)” の例文
なん商買しようばいなどがおありなさらう、そんなのではいとひながら蒲團ふとんうへせてきし紙入かみいれをとりあげて、お相方あいかた高尾たかをにこれをばおあづけなされまし
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「三日も前から、番頭の紙入かみいれを盜んで、それを證據にしたと言ふのは、少し細工が過ぎます。紙入れを盜めば騷がれるに決つて居りますから、そんなものは證據になりません」
廣小路ひろこうぢいづればくるまもあり、阿關おせき紙入かみいれより紙幣しへいいくらか取出とりいだして小菊こぎくかみにしほらしくつゝみて、ろくさんこれはまこと失禮しつれいなれど鼻紙はながみなりともつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たゞ亂暴らんぼう品川しながはへもあしくれどさわぎは其座そのざり、夜中よなかくるまばして車町くるまゝち破落戸ごろがもとをたゝきおこし、それさけかへさかなと、紙入かみいれのそこをはたきて無理むりとほすが道樂だうらくなりけり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
化物ばけものではいらつしやらないよとはなさきつてわかつたひと御褒賞ごほうびたと懷中ふところから紙入かみいれをいだせば、おりきわらひながらたかちやん失禮しつれいをいつてはならないこのかた御大身ごだいしん御華族樣ごくわぞくさまおしのびあるきの御遊興ごゆうきよう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)