粉韲ふんさい)” の例文
意と智と情との完成を経て来ない原始的の魂が、意と智と情とを完成した魂のために粉韲ふんさいせられるのは止むを得ないことだ。
真剣の強味 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
一人ひとり左鬢さびんに、かすかなきづしろ鉢卷はちまきわたくし雀躍こをどりしながら、ともながむる黎明れいめい印度洋インドやう波上はじやうわたすゞしいかぜは、一陣いちじんまた一陣いちじんふききたつて、いましも、海蛇丸かいだまる粉韲ふんさいしたる電光艇でんくわうてい
敵をなるたけ手近に引寄せておいて掩撃えんげき殺闘敵を粉韲ふんさいするにあるのだ、君の犬に対する手段は、始めはナポレオンの兵法で後にネルソンの兵法に進んだのだ、どちらかといえば
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
西国大名のごときこれを粉韲ふんさいする容易よういのみとてしきりに勧説かんせつしたるものあり。
作者の心と体とを粉韲ふんさいせずには置かない『真』に迫ることの難いのを私は痛感せずには居れない。
小説新論 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
敵艦左舷てきかんさげんゆれば左舷さげん水雷すいらいこれ粉韲ふんさいするの有樣ありさまは、ほとんどにもとまらぬ活景くわつけいであらう。
それにしても、面白いのは、トルストイがその内部の光景をいつも粉微塵こなみじん粉韲ふんさいしながら、常にその内部の光景に向つて進んで行つた形である。かれは何遍となくその内部を破壊した。
心の絵 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
一秒時間いちびやうじかんに三百廻轉くわいてん速力そくりよくをもつて、絞車こうしやごと廻旋くわいせんするのであるから、この衝角しやうかくるゝところ、十四インチはん以上いじやう裝甲アーモアいうする鐵艦てつかんほかは、ほとんど粉韲ふんさいせられざるものはるまいとおもはるゝ