節分せつぶん)” の例文
畢竟ひっきょうこんなものを残して置くから心得ちがいや間違いが起るのだと云って、節分せつぶんの晩にその贋物の鬼を焼き捨ててしまったそうです。
半七捕物帳:27 化け銀杏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これが節分せつぶんばんである。大都會だいとくわい喧騷けんさう雜音ざつおんに、その、そのまぎるゝものは、いつか、魔界まかい消息せうそく無視むしし、鬼神きじん隱約いんやく忘却ばうきやくする。……
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しぶかき何時いつまでたつてもしぶいとひますよ。さういへば節分せつぶんに、ぼうつたひとて、『さあ、るとまをすか、らぬとまをすか』とつて、かきちませう。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
節分せつぶん物貰ものもらいをしたこともある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
とほやまの、田舍ゐなかゆきなかで、おなじ節分せつぶんに、三年さんねんつゞけて過失あやまちをした、こゝろさびしい、ものおそろしいおぼえがある。いつも表二階おもてにかい炬燵こたつから。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どうもわたし節分せつぶんに、ぼうたれかたりなかつたとおもひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「……あに、これからもをつけさつしやい、うちではむかしから年越としこしの今夜こんやがの。……」わすれてた、如何いかにもその節分せつぶんであつた。わたしむつつからこゝのつぐらゐのころだつたとおもふ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)