箱枕はこまくら)” の例文
懷紙を掛けた、赤い箱枕はこまくら、八五郎には馴れない代物しろものですが、娘の髮の匂ひかみて、獨り者の八五郎には、これも妙に惱ましい代物です。
みな夜具やぐたゞ壁際かべぎははしくつたまゝきつけてある。卯平うへい其處そこ凝然ぢつた。箱枕はこまくらくゝりはかみつゝんでないばかりでなく、切地きれぢ縞目しまめわからぬほどきたなく脂肪あぶらそまつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しきイザとすゝむ箱枕はこまくらのみならぬ身の親父が横に成たる背後うしろへ廻り腰より足をさす行手ゆくてよわきかひなも今宵此仇このあだたふさんお光の精神是ぞ親子が一世の別れときはまる心は如何ならん想像おもひやるだにいたましけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
エヽそんならコウ鐵槌かなづちがあらばつてしねえ。女「オホホ、かなさいこづちことかいな、ソレなんちふさんすのぢやいな。「イヤあの箱枕はこまくら此柱このはしらへうちつけてちながらるつもりだ。 ...
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「何だ、箱枕はこまくらぢやないか」