竹椽ちくえん)” の例文
えうなきむねいためけん、おろかしさよと一人ひとりみして、竹椽ちくえんのはしにあしやすめぬ、晩風ばんぷうすゞしくたもとかよひて、そらとびかふ蝙蝠かはほりのかげ二つ三つ、それすらやうやえずなりゆく
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はじかえでなんどの色々に染めなしたる木立こだちうちに、柴垣結ひめぐらしたる草庵いおりあり。丸木の柱に木賊もてのきとなし。竹椽ちくえん清らかに、かけひの水も音澄みて、いかさま由緒よしある獣の棲居すみかと覚し。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
稚兒おさなごはゝよぶやうさしまねぎつ、坐敷ざしきにもらではるかにてば、松野まつのおもかろにあゆみをすゝめて、はや竹椽ちくえんのもとに一揖いつしふするを、糸子いとこかるくけて莞爾にこやかに、花莚はなむしろなかばけつゝ團扇うちわつてかぜおくれば
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)