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稀
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めず
ふりがな文庫
“
稀
(
めず
)” の例文
またわからない言葉を何か
喋
(
しゃべ
)
らねばならぬのも
億劫
(
おっくう
)
の種であるので、とうとう一ケ月以上も入浴をしない事は
稀
(
めず
)
らしくはなかった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
加藤の家の
老人
(
としより
)
夫婦の物堅い気楽そうな年越しの
支度
(
したく
)
を見て、私は自分の心までが
稀
(
めず
)
らしく正月らしい晴れやかな気持ちになった。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
けれども、その顔は日本人には
稀
(
めず
)
らしいくらい細刻的な陰影に富んでいて、それが如実に彼女の内面的な深さを物語るように思われた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
夕方から
零
(
お
)
ち出した雪が暖地には
稀
(
めず
)
らしくしんしんと降って、もう宵の口では無い今もまだ
断
(
き
)
れ
際
(
ぎわ
)
にはなりながらはらはらと降っている。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それから
稀
(
めず
)
らしいとされている
角錐
(
かくすい
)
状の結晶、
鼓型
(
つづみがた
)
の結晶、それが数段になっている段々鼓型などの結晶が惜し
気
(
げ
)
もなく降って来るのである。
雪の十勝:――雪の研究の生活――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
たった一人の時さえ
稀
(
めず
)
らしくなく、わざわざ改札に起きだして来るのも億劫なのであろう。したがって渡し損ねた切符が随分袂のなかに溜っている。
道
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
新旧全書共に眠気醒しにならんでもないが、論語に至っては世にも
稀
(
めず
)
らしき平々凡々、砂を噛むが如き書物である。
論語とバイブル
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
梁塵秘抄
(
りょうじんひしょう
)
そのほかの、
稀
(
めず
)
らしい
古謡
(
こよう
)
の写し本をあまた取らせ、一ぱしその道の通のこととて、さまざま物語りに
更
(
ふ
)
かしていると、そこへ、例の老女が現れて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そこで
咄嗟
(
とっさ
)
に文句をかえて、あなたの経済にかけての御手腕と、
稀
(
めず
)
らしく秩序のととのった御領分については予々お噂を承わっていたから、ぜひお近附をねがって御挨拶がいたしたく
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
昨日や一昨日遊んでいたのは
風邪
(
かぜ
)
をひいたので工場へ勤められなかったのだとその男のために弁解して、何しろ
稀
(
めず
)
らしい働き者だと、後家の
小母
(
おば
)
さんが話したということを
力説
(
りきせつ
)
するのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
いずれも情歌の作品には情緒
纏綿
(
てんめん
)
という連中だったが、茶屋酒どころか、いかがわしい場所へ足を入れるものは
殆
(
ほとん
)
ど
尠
(
すく
)
なかった。この点、庵主金升もその主義だった。正に
稀
(
めず
)
らしい
寄合
(
よりあい
)
といえる。
「明治のおもかげ」序にかえて
(新字新仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
(まあ、いい男——休さんの朋輩には、
稀
(
めず
)
らしい——)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
稀
(
めず
)
らしいディアボロ形の
砂漏
(
さろう
)
などが注目されたけれども、油時計や火繩時計のように中世
西班牙
(
イスパニア
)
で跡を絶ったものには
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
是の如きことは甲にも乙にも
上
(
かみ
)
にも
下
(
しも
)
にも互に有ることで、戦乱の世の月並で
稀
(
めず
)
らしい事では無い。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それを聴くと、法水はいったん自嘲めいた嘆息をしたが、続いて、彼には
稀
(
めず
)
らしい噪狂的な
亢奮
(
こうふん
)
が現われた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「随分
稀
(
めず
)
らしい
良
(
い
)
い竿だな、そしてこんな具合の
好
(
い
)
い軽い
野布袋
(
のぼてい
)
は見たことがない。」
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
稀
漢検準1級
部首:⽲
12画
“稀”を含む語句
稀代
稀々
類稀
稀覯書
稀少
稀有
稀薄
稀人
稀塩散
稀物
稀世
古稀
稀〻
時稀
稀覯
稀品
稀覯本
稀塩酸
稀飯
古稀庵
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