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碧血
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へきけつ
ふりがな文庫
“
碧血
(
へきけつ
)” の例文
居間とも仕事場ともつかぬ、取っ付きの六畳、長火鉢の前に仰向きになった綾吉は、
碧血
(
へきけつ
)
の海の中に空を掴んでこと切れていたのです。
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
投げられた者は皆、
脳骨
(
のうこつ
)
をくだき、
眼窩
(
がんか
)
は飛びだし、またたくうちに
碧血
(
へきけつ
)
の大地、惨として、二度と起き上がる者はなかった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当年
碧血
(
へきけつ
)
のあと、いまはただ野の草がさざなみのように風に倒れて、遠く
浦塩
(
ウラジオ
)
へ通ずる鉄路の果てが一線を引いて消える地平に、
玩具
(
おもちゃ
)
のような汽車が黒煙を吐いている。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
百年
碧血
(
へきけつ
)
の
恨
(
うらみ
)
が
凝
(
こ
)
って
化鳥
(
けちょう
)
の姿となって長くこの不吉な地を守るような心地がする。吹く風に
楡
(
にれ
)
の木がざわざわと動く。見ると枝の上にも烏がいる。しばらくするとまた一羽飛んでくる。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さすがに顔を
反
(
そむ
)
けました。便所寄りの戸袋の傍、一枚開けた雨戸の中には、
碧血
(
へきけつ
)
に染んだお咲の薄雲が、虚空を
掴
(
つか
)
んだ形で死んでいるのです。
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
楠公一族が、忠烈な
碧血
(
へきけつ
)
をもって苔と咲かせた
摂河泉
(
せっかせん
)
の石を、
湊川
(
みなとがわ
)
まで運ばせて、大きな碑を建てよう——という計画であるらしく
窺
(
うかが
)
われた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
皆川半之丞の案内で裏へ廻ると、狹い庭の植込の蔭に、さしも美しかつたお京は、
紅絹
(
もみ
)
の一と束のやうに、
碧血
(
へきけつ
)
に染んでこと切れて居るのです。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
肉漿
(
にくしょう
)
飛び交い、
碧血
(
へきけつ
)
草を染むる。
悽愴
(
せいそう
)
比なき乱軍であったことを、証するものであるともいえよう。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
碧血
(
へきけつ
)
に染んだまゝ土間に轉がつて居り、その側に折重なるやうに倒れた藤六の死骸には、僅かに
茣蓙
(
ござ
)
がかけられて、多勢の眼から隱してあります。
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二月から三月初めにかけて、高遠城の石垣は、攻守両軍の兵がながす
碧血
(
へきけつ
)
に塗られた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
皆川半之丞の案内で裏へ廻ると、狭い庭の植込みの蔭に、さしも美しかったお京は、
紅絹
(
もみ
)
の一と束のように、
碧血
(
へきけつ
)
に染んでこと切れているのです。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
関羽の
揮
(
ふる
)
う青龍刀の向うところ、万丈の血けむりと、
碧血
(
へきけつ
)
の虹が走った。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宇田川小町と言われた浪人秋山佐仲の娘お喜美は、こうして花嫁衣裳を
碧血
(
へきけつ
)
に染めたまま、浅ましくも痛々しい姿で聟の家へ担ぎ込まれたのでした。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
碧血
(
へきけつ
)
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宇田川町小町と言はれた浪人秋山佐仲の娘お喜美は、斯うして花嫁衣袋を
碧血
(
へきけつ
)
に染めたまゝ、淺ましくも痛々しい姿で聟の家へ擔ぎ込まれたのでした。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お徳は後ろから
頸筋
(
くびすじ
)
を深々と切られて、半分開けたドブ板に手を掛けたまま、
碧血
(
へきけつ
)
の中に
崩折
(
くずお
)
れていたのです。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
死骸の側に投り出されたのは、使ひ古した植木鋏が一挺、
碧血
(
へきけつ
)
に染んで、この下手人を物話つて居さうです。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
死骸の側に
投
(
ほう
)
り出されたのは、使い古した植木鋏が一挺、
碧血
(
へきけつ
)
に染んで、この下手人を物語っていそうです。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎から噂は聽いて居りましたが、
碧血
(
へきけつ
)
の
大氾濫
(
だいはんらん
)
の中に横はつた若い嫁は、まことに非凡の美しさです。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから物干臺に登つて見ましたが、
碧血
(
へきけつ
)
が新しい手摺から
簾子張
(
すのこばり
)
を染めて、下の
瓦
(
かはら
)
に及んでをります。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
剃刀は二梃ともよく使ひ込んだもので、背と背を合せて、
元結
(
もとゆひ
)
でキリキリと縛つてありますが、
斑々
(
はん/\
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
が、
膠
(
にかは
)
のやうに附いて見るからに無氣味なものです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其處はまだ昨夜のまゝの
碧血
(
へきけつ
)
に
塗
(
まみ
)
れて、部屋の中程に、中間半次は自分の匕首——一度
紛失
(
ふんしつ
)
したといふ——細身の一口を左乳の下に刺し
貫
(
つらぬ
)
き、兩手を疊に突いたまゝ
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
灯先
(
あかりさき
)
にヌツと出した顏は——身體は——、
顎
(
あご
)
から襟へ腕へ——膝へかけて、飛び散る
碧血
(
へきけつ
)
を浴びて、白地の浴衣を着てゐるだけに、その凄まじさといふものはありません。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
灯先
(
あかりさき
)
にヌッと出した顔は——身体は——、
顎
(
あご
)
から
襟
(
えり
)
へ腕へ——膝へかけて、飛び散る
碧血
(
へきけつ
)
を浴びて、白地の
浴衣
(
ゆかた
)
を着ているだけに、その
凄
(
すさ
)
まじさというものはありません。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
尊い佛像の劍に
碧血
(
へきけつ
)
の
斑々
(
はん/\
)
たるのは、あまりにも冒涜的で、結構な心持にはなれません。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尊い仏像の剣に
碧血
(
へきけつ
)
の
斑々
(
はんはん
)
たるのは、あまりにも
冒涜
(
ぼうとく
)
的で、結構な心持にはなれません。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
中は
惨憺
(
さんたん
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
、——検死が済んだばかりで、洗い清める暇もなかったのでしょう。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこには荒筵の上に
仰向
(
あおむ
)
けになって、
碧血
(
へきけつ
)
に染んだ男の死骸が横たわっているのです。
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
中は慘憺たる
碧血
(
へきけつ
)
、——檢死が濟んだばかりで、洗ひ清める暇も無かつたのでせう。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その半面が
碧血
(
へきけつ
)
を浴びて、喉笛には
紛
(
まぎ
)
れもない喰ひ破つた猛獸の齒型。
柘榴
(
ざくろ
)
を叩き潰したやうにゑみ割れて、丸い胸のあたりまで
蘇芳
(
すはう
)
にひたした凄まじさは、何に
譬
(
たと
)
へやうもありません。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斑々
(
はん/\
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
に染めて、隣の相模屋の若旦那榮三郎は、縁側の下に幾十とも知れぬ傷を負うて斬り殺され、多之助の弟で——今は此家の
主人
(
あるじ
)
の多見治は、居間の八疊に、相手の一と突きを
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
奸智
(
かんち
)
にだけ
長
(
た
)
けて、武藝の心得の怪しい石卷左陣を取つて押へると、丁度八五郎は、下水の蓋になつてゐる
御影石
(
みかげいし
)
を起して、その下から三百兩の金包と、
碧血
(
へきけつ
)
斑々
(
はん/\
)
たる脇差を搜し出したのでした。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、石を積んで
樫
(
かし
)
の厚板を並べた床は、東海坊の十本の指が
碧血
(
へきけつ
)
に
染
(
まみ
)
れる努力も空しく、ビクともする樣子はなく、四方に積んだ枯柴は、丈餘の焔を擧げて、
翅
(
つばさ
)
があつても飛び越せさうもありません。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、石を積んで
樫
(
かし
)
の厚板を並べた床は、東海坊の十本の指が
碧血
(
へきけつ
)
に
染
(
まみ
)
れる努力も空しく、ビクともする様子はなく、四方に積んだ枯柴は、丈余の焔を挙げて、
翅
(
つばさ
)
があっても飛び越せそうもありません。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
石材の山を染めて、
斑々
(
はんはん
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
、全く眼も当てられません。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もつたいなくも
碧血
(
へきけつ
)
に染んでゐることだつたのです。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もったいなくも
碧血
(
へきけつ
)
に染んでいることだったのです。
銭形平次捕物控:130 仏敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
どっと象牙の鍵盤をひたした
碧血
(
へきけつ
)
——
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
碧
漢検準1級
部首:⽯
14画
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
“碧血”で始まる語句
碧血斑々
碧血紅漿