“睡(ねふ)” の例文
さあ其事(そのこと)で御座(ござ)んすとて、睡(ねふ)り覺(さ)めたる懷中(ふところ)の町(まち)がくすりくすりと嘩泣(むづか)るを、おゝ好(い)い子(こ)好(い)い子(こ)と、ゆすぶつて言葉(ことば)絶(た)えぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
君(きみ)よりも十通(つう)に一度(ど)の返事(へんじ)を與(あた)へ給へ、睡(ねふ)りがたき秋(あき)の夜(よ)は胸(むね)に抱(いだ)いてまぼろしの面影(おもかげ)をも見(み)んと、このやうの數〻(かず/\)を並(な)らべて男(をとこ)なきに涙(なみだ)のこぼれるに、ふり仰向(あほの)てはんけちに顏(かほ)を拭(ぬぐ)ふさま
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
寢間(ねま)の時計(とけい)の十二を打(う)つまで奧方(おくがた)はいかにするとも睡(ねふ)る事(こと)の無(な)くて幾(いく)そ度(たび)の寢(ね)がへり少(すこ)しは肝(かん)の氣味(きみ)にもなれば、入(い)らぬ浮世(うきよ)のさま/″\より、旦那樣(だんなさま)が去歳(こぞ)の今頃(いまごろ)は紅葉舘(こうえうくわん)にひたと通(かよ)ひつめて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)