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目近
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まぢか
ふりがな文庫
“
目近
(
まぢか
)” の例文
悚然
(
ぞっ
)
として、
向直
(
むきなお
)
ると、
突当
(
つきあた
)
りが、樹の枝から
梢
(
こずえ
)
の葉へ
搦
(
から
)
んだような石段で、上に、
茅
(
かや
)
ぶきの堂の屋根が、
目近
(
まぢか
)
な
一朶
(
いちだ
)
の雲かと見える。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
北の
方
(
かた
)
、
目近
(
まぢか
)
に大武の岬をながめ、前面、三浦三崎と対し、
内湾
(
うちうみ
)
と、
外湾
(
そとうみ
)
との暮れゆく姿を等分にながめながら、有らん限りの声を出して歌いました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
陸
(
りく
)
の
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
ると、いつしか
我
(
わ
)
が
船
(
ふね
)
は
港
(
みなと
)
目近
(
まぢか
)
に
進
(
すゝ
)
んで、
桑港
(
さうかう
)
の
町々
(
まち/\
)
はつい
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
に
見
(
み
)
える。
我等
(
われら
)
の
泊
(
とま
)
るべきフェアモント・ホテルは
高
(
たか
)
い
丘
(
をか
)
の
上
(
うへ
)
に
突
(
つ
)
ツ
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
僕は又遠い過去から
目近
(
まぢか
)
い現代へすべり落ちた。そこへ幸いにも来合せたのは或先輩の彫刻家だった。彼は
不相変
(
あいかわらず
)
天鵞絨
(
びろうど
)
の服を着、短い
山羊髯
(
やぎひげ
)
を
反
(
そ
)
らせていた。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いよいよいけなくなったことは、冬がいまや
目近
(
まぢか
)
にせまってきたことであった。わたしたちは目も見えないような雨とみぞれの中をみじめに歩き回らなければならなかった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
窓のつい眼のさきにある山の姿が、
淡墨
(
うすずみ
)
で
刷
(
は
)
いたように、水霧に
裹
(
つつ
)
まれて、
目近
(
まぢか
)
の雑木の小枝や、崖の草の葉などに漂うている雲が、しぶきのような水滴を
滴垂
(
したた
)
らしていたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
二十三歳の豊かな肉体が、危ふく純潔さを支へて、
目近
(
まぢか
)
な夢を追つてゐるのである。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
僕は又遠い過去から
目近
(
まぢか
)
い現代へすべり落ちた。そこへ幸ひにも来合せたのは或先輩の彫刻家だつた。彼は不相変
天鵞絨
(
びろうど
)
の服を着、短い
山羊髯
(
やぎひげ
)
を
反
(
そ
)
らせてゐた。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
烏は
鴎
(
かもめ
)
が浮いたよう、
遠近
(
おちこち
)
の森は晴れた島、
目近
(
まぢか
)
き雷神の一本の
大栂
(
おおとが
)
の、旗のごとく、
剣
(
つるぎ
)
のごとく
聳
(
そび
)
えたのは、巨船天を摩す柱に似て、屋根の浪の風なきに、泡の
沫
(
しぶき
)
か、白い小菊が
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
目近
(
まぢか
)
に、白い山々の峯が光つてゐます。その中腹から緑の牧場が、ゆるやかな起伏を見せて、谷へ伸び、そこで、はじめて、灰色に
翳
(
かげ
)
つた小さな部落のひとかたまりを浮き出させるのです。
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
“目”で始まる語句
目
目的
目出度
目前
目標
目貫
目覚
目論見
目下
目論