白鼠しろねずみ)” の例文
全山全塞に緑の季節が来て、媼は登山し、野伏ノ勝は白鼠しろねずみのようにはたらいて、ついに、すては一人のでかい赤ん坊を生み放った。
さらにその先の店で、硝子ガラスのはまった木箱のなかで、じぶんの身体よりもずっと大きい車をくるくるまわしつづけるかわいい白鼠しろねずみを買った。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
松村まつむら小松こまつかこつて、松賀町まつかちやう淨瑠璃じやうるりをうならうといふ、くらくらとはならんだり、なか白鼠しろねずみ黒鼠くろねずみたはら背負しよつてちよろ/\したのが、みなはひになつたか。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「冗談でしょう、親分さん、私は——江島屋の子飼いで、白鼠しろねずみといわれた私が、そんな馬鹿なことをするものですか」
かれは神田の明神下の山城屋という質屋の番頭で、利兵衛という白鼠しろねずみであることを半七はかねて知っていた。
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ことわりければ當家に幼年えうねんの頃より奉公して番頭と迄出世しゆつせをなし忠義無類むるゐ世間せけんにて伊勢屋の白鼠しろねずみと云ひはやし誰知らぬ者も無き評判の久八は日頃より主人の吝嗇りんしよくなるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
算盤そろばん乃公おれの頭をなぐつた親爺おやぢにしろ、泣いて意見をした白鼠しろねずみの番頭にしろ、暖簾のれんを分けてもらつたおとよ亭主ていしゆにしろ、さうふ人達はおこつたり笑つたり泣いたり喜んだりして
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
オルゴール人形、パチンコ、車をまわす白鼠しろねずみども——これだけのものを持ってはいったのであるが、もうあきてしまった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
「冗談でせう、親分さん、私は——江島屋の子飼で、白鼠しろねずみといはれた私が、そんな馬鹿なことをするものですか」
武家ぶけに在ては國家の柱石ちうせき商家しやうかで申さば白鼠しろねずみなる番頭久八は頃日このごろ千太郎の容子ようす不審いぶかししと心意こゝろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
算盤そろばん乃公おれの頭をなぐった親爺おやじにしろ、泣いて意見をした白鼠しろねずみの番頭にしろ、暖簾のれんを分けてもらったお豊の亭主にしろ、そういう人たちは怒ったり笑ったり泣いたり喜んだりして
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
大黒屋という、小体こていながら表通りに店を張って、数代叩き上げた内福な呉服屋、番頭の佐吉は、内外一切の采配を揮っている、五十年配の白鼠しろねずみだったのです。
送りける故吝嗇りんしよく無類むるゐの五兵衞さへ萬端久八に任せ主人に代りて取扱とりあつかふ樣に成りけるに彌々いよ/\人々賞美しやうびして伊勢五の白鼠しろねずみと云れて店向の取締りをも爲すこととなりたりけり因て右捨子の次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
番頭の元吉は五十前後、三十年も奉公した白鼠しろねずみで、しっかり溜めてはいる様子ですが、溜める事に興味を持ちすぎて、ることなどは考えていそうもありません。
番頭の元吉は五十前後、三十年も奉公した白鼠しろねずみで、しつかりめてはゐる樣子ですが、溜める事に興味を持ち過ぎて、盜ることなどは考へてゐさうもありません。
「まア、見てくれ、白鼠しろねずみ枡落ますおとしに掛つたやうなものさ、死んだ上總屋の主人も、飛んだ人が惡いよ」
「まア、見てくれ、白鼠しろねずみ枡落ますおとしに掛ったようなものさ、死んだ上総屋の主人も、とんだ人が悪いよ」
見たところ四十七八、立派な白鼠しろねずみで、月代さかやきの光り工合も、分別らしさも、全く申分はありません。
見たところ四十七八、立派な白鼠しろねずみで、月代さかやきの光り工合も、分別らしさも、全く申分はありません。
「この白鼠しろねずみを飼っているのは誰だい、お染さん」
「この白鼠しろねずみを飼つて居るのは誰だい、お染さん」