もちう)” の例文
第五、上士族の内にも小禄の貧者なきに非ざれども、がいしてこれを見れば、その活計はいるに心配なくして、ただいずるの一部に心をもちうるのみ。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これをかゆとしまた鰹節かつぶし煮出にだしてもちうれば大に裨益ひえきあればとて、即時そくじしもべせておくられたるなど、余は感泣かんきゅうくことあたわず、涕涙ているいしばしばうるおしたり。
字が示す如く蓑を入れる箱であって、大名の行列の時に、供人ともびとになう横長い箱である。『我衣わがころも』に「大名ニミノ箱アリ、しからバ陣中ハ、ミノヲもちうト見エタリ」
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
日本人の面貌めんぼうは神楽にもちうる面によって代表されていると言った人がある。
仮寐の夢 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
下等士族のはいが、数年以来教育に心をもちうるといえども、その教育は悉皆しっかい上等士族の風を真似まねたるものなれば、もとよりその範囲はんいだっすることあたわず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一 下女を使つかうに心をもちうべし。言甲斐いいがいなき下﨟げろうならわあしくて知恵なく、心奸敷かしましくものいうことさがなし。夫のこと舅姑こじゅうとのことなど我心に合ぬ事あれば猥にそしきかせて、それを却て君の為と思へり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
前条の如く、毎半年各戸に一歩の金を出ださしむるは官の命なれども、この金をもちうるにいたりては、その権まったく年寄の手にあり。この法はウェーランド氏経済書中の説に暗合せるものなり。
京都学校の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)