生人形いきにんぎょう)” の例文
やがて盗賊とうぞくどもは、生人形いきにんぎょうおくからってきましたが、くびはぬけ手足はもぎれて、さんざんな姿すがたになっていました。それも道理もっともです。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
唇に生色がなくて、何とやら花やしきの生人形いきにんぎょうみたいであったが、それ故に、却って(十二字削除)皮膚は青白くすべっこかった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
江戸えどばん女形おやま瀬川菊之丞せがわきくのじょう生人形いきにんぎょうを、舞台ぶたいのままにろうッてんだ。なまやさしいわざじゃァねえなァれている。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ぼたんの花にかんなの花のたくましさを添へたやうな美しさであつた。河内屋の生人形いきにんぎょう、と近所のものが評判した。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
生人形いきにんぎょう
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貴様きさまどもはわるやつだ。甚兵衛じんべえさんの生人形いきにんぎょうぬすんだろう。あれをすぐここにだせ、だせばいのちたすけてやる。ださなければ八裂やつざきにしてしまうぞ」
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そんなものは、弟子でしたちにやらせます。わたしは本職の人形師です。子供の時分に、安本亀八に弟子入りしたこともある。日本式の生人形いきにんぎょうですよ。きりの木に彫るのです。
悪霊物語 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
だが、今度こんど仕事しごとばかりァそうじゃァねえ。この生人形いきにんぎょうさえ仕上しあげたら、たとえあすがへどをいてたおれても、けっして未練みれんはねえと、覚悟かくごをきめての真剣勝負しんけんしょうぶだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
さあそれが評判ひょうばんになりまして、「甚兵衛の人形は生人形いきにんぎょう」といいはやされ、町の人たちはもちろんのこと、とおくの人まで、甚兵衛の人形小屋ごや見物けんぶつまいりました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
名人めいじん由斎ゆうさいに、こころうちちあけて、三年前ねんまえ中村座なかむらざた、八百お七の舞台姿ぶたいすがたをそのままの、生人形いきにんぎょうたのんだ半年前はんとしまえから、おせんはきょうか明日あすかと、出来できあが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)