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ものずき
ふりがな文庫
“
物数寄
(
ものずき
)” の例文
旧字:
物數寄
物数寄
(
ものずき
)
な人もあったものというような顔を宿屋の主婦がしていたのも
道理
(
もっとも
)
、一本三円でも高いといった言葉も本当のことでありました。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
又
(
また
)
私は知る人の
為
(
た
)
めに尽力したことがあります。
是
(
こ
)
れは唯私の
物数寄
(
ものずき
)
ばかり、決して政治上の意味を含んで居るのでも何でもない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私
(
わし
)
も篠田と云ふ奴を二三度見たことがありますが、顔色容体
全然
(
まるで
)
壮士ぢや
御
(
お
)
ワせんか、
仮令
(
たとひ
)
山木の娘が
物数寄
(
ものずき
)
でも、
彼様男
(
あんなもの
)
へ
嫁
(
ゆか
)
うとは言ひませんよ、よし
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
新年早々屠牛を見に行くとは、随分
物数寄
(
ものずき
)
な話だとは思ったが、しかし私の遊意は
勃々
(
ぼつぼつ
)
として
制
(
おさ
)
え難いものがあった。朝早く私は上田をさして小諸の
住居
(
すまい
)
を出た。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
家のものに迎えられて、広やかに
物数寄
(
ものずき
)
な一間に通り座が
定
(
き
)
まった時、呉羽之介は仲居に向い
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
帰って見ると、郵便箱には郵便物の外、色々な名刺や鉛筆書きが入れてあったり、
主人
(
しゅじん
)
が
穿
(
は
)
きふるした薩摩下駄を
物数寄
(
ものずき
)
にまだ
真新
(
まあたら
)
しいのに穿きかえて
行
(
い
)
く人なぞもあった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
刀
脇差
(
わきざし
)
も有用の物ともおもわずや、かざりの美、異風の
拵
(
こしらえ
)
のみを
物数寄
(
ものずき
)
無益の費に金銀を捨て、衣服も
今様
(
いまよう
)
を好み妻子にも華美風流を飾らせ、
遊山
(
ゆさん
)
、
翫水
(
がんすい
)
、芝居見に公禄を費し
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
僕
(
ぼく
)
自身は何も
物数寄
(
ものずき
)
らしくその内容を知りたいとは思ってるわけじゃないんですから……
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この彦太楼尾張屋の主人というは
藐庵
(
みゃくあん
)
や
文楼
(
ぶんろう
)
の系統を引いた当時の廓中第一の愚慢大人で、
白無垢
(
しろむく
)
を着て御前と呼ばせたほどの豪奢を極め、
万年青
(
おもと
)
の名品を五百鉢から持っていた
物数寄
(
ものずき
)
であった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
楽に目的が果されようという時代になっては、わざわざ人夫を雇って、天幕や食糧を担わせ、野宿の苦を忍んで、幾日かを山上に放浪した昔のような山旅をして見ようという
物数寄
(
ものずき
)
な人もなかろうし
鹿の印象
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
あれでは石の材料が
可哀
(
かわい
)
そう……一つ石を彫って、もっと物らしい物をこしらえて見たい……というような
物数寄
(
ものずき
)
な気が起るのでありました。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「という訳で」と書記は冷くなった酒を飲干して、「ところが同僚は極の
好人物
(
ひとよし
)
だもんだで、君どうでしょう、泣寝入さ。私は
物数寄
(
ものずき
)
にその番人を見に行きやした。 ...
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
又ヒョイと
考
(
かんがえ
)
直して見れば、
仮令
(
たと
)
い文明進歩の方針とは
云
(
い
)
いながら、
直
(
ただち
)
に自分の身に必要がなければ
物数寄
(
ものずき
)
と
云
(
い
)
わねばならぬその物数寄な政治論を
吐
(
はい
)
て、
図
(
はか
)
らずも天下の大騒ぎになって
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
すると、この
娘
(
こ
)
の絵に何か
見処
(
みどころ
)
があったか、
物数寄
(
ものずき
)
の人がその絵を買って下すったり、またその絵が入賞したりしました。
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
物数寄
(
ものずき
)
な家族のもののあつまりのことで、花の風情を人の姿に見立て、あるものには大音羽屋、あるものには橘屋、あるものには勉強家などの名がついたというのも
秋草
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ことに漆喰塗りの大仏の胎内は一層の蒸し暑さでありますから、わざわざそういう苦しい中へ這入ってうでられる
物数寄
(
ものずき
)
もないといったような風で、客はがらりと減りました。
幕末維新懐古談:64 大仏の末路のあわれなはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
本船に移ってからも、お新は愉快な、
物数寄
(
ものずき
)
な、若々しい女の心を失わなかった。旅慣れた彼女は、ゼムだの、
仁丹
(
じんたん
)
だのを取出して、山本さんに
勧
(
すす
)
める位で、自分では船に酔う様子もなかった。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ある人は極度のヒステリックな状態に
堕
(
お
)
ちた。その人は親切と
物数寄
(
ものずき
)
とを同時に兼ねたような同胞の連に引立てられて、旅人に身をまかせることを
糊口
(
くちすぎ
)
とするような独逸の女を見に誘われて行った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
数
常用漢字
小2
部首:⽁
13画
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
“物数”で始まる語句
物数奇
物数