をぢ)” の例文
をぢが張る四つ手の網に、月さしていろくづ二つ。その魚のくちびるあかき、この魚の背の鰭青き、うつつともへばつめたく、幻と見ればらひつ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
をぢが張る四つ手の網に、月さしていろくづ二つ。その魚のくちびるあかき、この魚の脊の鰭青き、うつつともへばつめたく、幻と見ればらひつ。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
乾きやうるひや、にほひとや持ち味。漆は、漆はや、あやかし、こは子らよ生物いきもの、かく言ひて一つかへし、二つかへし、たらりとよ、つるりとよ、をぢは見てゐつ、春の日永を。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
魚売りのをぢが日永や、ふちびろの菅の編笠、たよたよと担棒おほこかつぎて、はらはらに片手まはして、前籠に魚かすくなき、あとの籠魚か多かる。後の籠地にしひきずる、重かるらしも。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
魚売りのをぢが日永や、ふちびろの菅の編笠、たよたよと担棒おほこかつぎて、はらはらに片手まはして、前籠に魚かすくなき、あとの籠魚か多かる。後の籠地にしひきずる。重かるらしも。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わが父は八十やそちかきをぢ、國いでてすでに二十はたとせ、この頃は夢に立ちと、き友の夜ごと寄りと、樂しよとひと夜もおちず、よく寢むとふすまかつぎて、今宵はもの誰か來む、早や待つと
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
わが父は八十やそちかきをぢ、国いでてすでに二十はたとせ、この頃は夢に立ちと、き友の夜ごと寄りと、楽しよとひと夜もおちず、よく寝むとふすまかつぎて、今宵はもの誰か来む、早や待つと
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
手をかほに涙もろなるこのをぢさ父なるならしとみに老いにけり (奥田老)
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青梅街道の春いまだ浅し山椒の魚げて来るさきをぢに会ひにけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
吹きさらす曠野あらのの駅に兎をさげてぽつつりと待てるをぢも居り午後
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひと球づつ百合の根埋めてこのところ百合の芽出むと帰れりをぢ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
背戸柿やこれのをぢさが木洩れ日に身うちゆるがし我ら遊びし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
菅笠のをぢが日永となりにけりになひの籠のうしろさがりに
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
曼陀羅まんだらをぢびたる蓮の実は黄蕋きしべさがりてよきまとひ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
老らくのさびしごころか浜へ出てかけろ追ひゆく万祝衣まいはいをぢ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そのまどめしひたるをぢひとりにぶげる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
物むつかしき武士さむらひをぢも來ましき。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
そのをぢの車に乘りて
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
濁酒にごりざけ賣るをぢ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)