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さら
ふりがな文庫
“
渫
(
さら
)” の例文
洪水の時にでも、土を
渫
(
さら
)
われて行ったらしい
断岸
(
きりぎし
)
に、
楊柳
(
かわやなぎ
)
の
巨
(
おお
)
きなのが、根を露出して、水のうえへ
屈
(
かが
)
み腰に枝を垂れている——
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歯の根がガチガチ鳴り出して、眼がポオとなってウッカリすると波に
渫
(
さら
)
われそうになって来たので四人がだんだん近寄って来て……これはイカン。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
物持、分限、わけても非道な金貸などを襲つて、丁度隙間から入る風のやうに何處からともなく忍び込み、現金だけを
渫
(
さら
)
つて、煙の如く消えるのです。
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それをしたら、
即座
(
そくざ
)
に彼女の魅力の
膝下
(
しっか
)
に踏まえられて、せっかく、固持して来た覚悟を苦もなく
渫
(
さら
)
って行かれそうな予感が彼を警戒さしたのであろう。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
恰度これから午後にかけて干潮時と見え、
艶
(
つや
)
のある引潮の
小波
(
さざなみ
)
が、静かな音を立てて岩の上を
渫
(
さら
)
っていた。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
▼ もっと見る
以上
(
いじやう
)
の
如
(
ごど
)
く、
大體
(
だいたい
)
の
調査
(
てうさ
)
は
濟
(
す
)
んだのであるが、
猶
(
なほ
)
細
(
こま
)
かに、
小石
(
こいし
)
や、
泥
(
どろ
)
を
渫
(
さら
)
へ
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
たら、
玉類
(
たまるゐ
)
金環類
(
きんくわんるゐ
)
の
發見
(
はつけん
)
もあるのだらうが、それは
坪井博士
(
つぼゐはかせ
)
が
來
(
こ
)
られてからにして
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「其れは長二や、
未
(
ま
)
だお前には早過ぎるやうだよ」と伯母は
頭
(
かうべ
)
を振りぬ「私も結局
孤独
(
ひとり
)
の方が好いと、心から思ふやうになつたのは、十年
以来
(
このかた
)
くらゐなものだよ——今だから洗ひ
渫
(
さら
)
ひ言うて仕舞ふが、 ...
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「湖水を
渫
(
さら
)
った天罰だ」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
八五郎を拝んで、平次を引出したのは、土地の仲間にこの功名を
渫
(
さら
)
って行かれたくないばかりの
苦策
(
くさく
)
だったのです。
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「きょうは、社中が寄って、
渫
(
さら
)
いやら、新曲の評をし合うているのじゃ。ゆるりと、遊んでゆけ」
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このゲンコの梅という奴は、ずっと前に大人の力持をやって相当人気を博していたもんだが、アトから来た少年力持の吾輩に人気を
渫
(
さら
)
われてスッカリ腐り込んでいた奴だ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
八五郎を拜んで、平次を引出したのは、土地の仲間にこの功名を
渫
(
さら
)
つて行かれ度くないばかりの
苦策
(
くさく
)
だつたのです。
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その狐か狸かが
渫
(
さら
)
って行った金高を集めたなら、大したものづら……といったような話を、頭に刻み込み刻み込み行くうちに銀之丞は、いつの
間
(
ま
)
にか菊川の町外れを右に曲って
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
平次はその日のうちに人を雇つて、お秀の家の窓下の川二間四方ほどのところを丁寧に
渫
(
さら
)
ひました。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
喰う米も無い(当時一升十銭時代)貧窮のただ中に大枚二円五十銭の小遣(催能の都度に祖父が費消する定額)を
渫
(
さら
)
って弟子の駈り出しに出かけたので、祖母や母はかなり泣かされたものだという。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
平次はその日のうちに人を雇って、お秀の家の窓下の川二間四方ほどのところを丁寧に
渫
(
さら
)
いました。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ナアニ途中で波に
渫
(
さら
)
われたと云いやあソレッキリだからね。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「三輪の親分にもさう言つてやるが宜い。隅田川を
渫
(
さら
)
つたつて鑿なんか出るわけはないとな」
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「成程そう言ったものですかね、親分の
腑
(
ふ
)
に落ちないことが、どう間違ったってあっしの腑に落ちる筈は無い、それじゃ
暫
(
しばら
)
くドブ
渫
(
さら
)
いでも何でもやって見るとしましょうか」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのころどこからともなく江戸に現われた
修験者
(
しゅげんじゃ
)
で、四十五六の
魁偉
(
かいい
)
な男でしたが、不思議な法力を持つと
噂
(
うわさ
)
されて、わずかの間に江戸中の人気を
渫
(
さら
)
い、谷中に建てた堂宇は
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
物をも言わずに花嫁の駕籠を引っ
渫
(
さら
)
って、引摺るように、横手の狭い路地の口へ——。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
物をも言わずに花嫁の駕籠を引っ
渫
(
さら
)
って、引摺るように、横手の狭い路地の口へ——。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その上あの邊は
渫
(
さら
)
つたばかりで
自棄
(
やけ
)
に深いから危ふく
溺
(
おぼ
)
れかけたところを——
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分さんが、
昨夜
(
ゆうべ
)
、——池は明日
渫
(
さら
)
ってみるとおっしゃったものですから」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「相棒は氣が變つた。左吉松の匕首を取上げると、後ろから馴々しく近寄つて、自分で自分を縛つて居る左吉松の
咽笛
(
のどぶえ
)
を、一と思ひに掻ききり、二千五百兩の小判を
渫
(
さら
)
つて逃げ出してしまつた」
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃何處からともなく江戸に現はれた
修驗者
(
しゆげんしや
)
で、四十五六の
魁偉
(
くわいゐ
)
な男でしたが、不思議な法力を持つと噂されて、僅かの間に江戸中の人氣を
渫
(
さら
)
ひ、谷中に建てた堂宇は、小さい乍ら豪勢を極め
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃江戸中を
顫
(
ふる
)
え上がらせた兇賊で、人も
害
(
あや
)
めず、戸障子も破らない代り、巧みに人の虚を衝いて、深夜の雨戸を開けさせて入り、抜刀で脅して有金を残らず
渫
(
さら
)
って行く手際は、巧妙と言おうか
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「天狗が
渫
(
さら
)
わない代り、良い年増が自分の巣へ
喰
(
くわ
)
え込むよ」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その溝を
渫
(
さら
)
ってみようと思うんだ」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「明日は一つ池を
渫
(
さら
)
ってみよう」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
渫
漢検1級
部首:⽔
12画
“渫”を含む語句
浚渫
浚渫船
川渫
池渫
浚渫機
渫陣
溝渫