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淘汰
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とうた
ふりがな文庫
“
淘汰
(
とうた
)” の例文
筋骨
(
すじぼね
)
が
暴馬
(
あれうま
)
から
利足
(
りそく
)
を取ッているあんばい、どうしても時世に
恰好
(
かッこう
)
の人物、自然
淘汰
(
とうた
)
の網の目をば第一に脱けて生き残る
逸物
(
いちもつ
)
と見えた。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
第三の反対理由は言語の世界にも適者生存の自然
淘汰
(
とうた
)
が行われている、人為的な強制などでは、言語の改廃は困難であるというのである。
外来語所感
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
またその前に改革か
淘汰
(
とうた
)
が行われるに違ないという噂に思い及んだ。そうして自分はどっちの方へ編入されるのだろうと疑った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
劣ったものを
淘汰
(
とうた
)
して、今では第一線に立つ「第五」のレコードというものは、ワインガルトナーと、メンゲルベルクと、トスカニーニと
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
残りの
有金
(
ありがね
)
で昔のゆめを追っているうちに、
時世
(
じせい
)
はぐんぐんかわり、廻り
燈籠
(
どうろう
)
のように世の中は走った。人間自然
淘汰
(
とうた
)
で佐兵衛さんも物故した。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
不自然なものが
淘汰
(
とうた
)
を受けるのは、この世の固い理法である。私は今、二つの国にある不自然な関係が正される日の来ることを、切に希っている。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
唐の影響はよく
淘汰
(
とうた
)
され、大陸にもかかる優れた遺品は絶無である。同寺東院堂の銅造聖観音立像もこれに劣らぬ美の最もいさぎよきものである。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
もっとも、
淘汰
(
とうた
)
した者も全然ないわけではなく、たとえば、売上げ金費消の歴然たる者は、罪状明白なりとして馘首、最初の契約どおり保証金は没収した。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
淘汰
(
とうた
)
の
石車
(
いしぐるま
)
によってきれいに
地均
(
じなら
)
しをされた結果、単なる幕府の代官所在地となり終わったのである。
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さて生物の身体における各器官が
漸々
(
ぜんぜん
)
進化するのは何によるかといえば、これは主として自然
淘汰
(
とうた
)
の働きによることで、生存に必要な器官の最もよく発達したものが
脳髄の進化
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
音文字
(
おんもじ
)
が採用されて、それで現すに不便な言葉がみんな
淘汰
(
とうた
)
される時が来なくちゃ歌は死なない。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
以上の
淘汰
(
とうた
)
整理をもう一ぺん行ない、そうして生き残った若干の結果の中から試みに「第二次の付け句」を構成して、それを再び「所定の前句」に対照してみるのである。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
日本の文芸の作品は世界的な広い視野のなかでもっと厳重に
淘汰
(
とうた
)
されてよいのである。先生が思い切ってそれをやろうとせられなかったことは、今考えても惜しい気がする。
露伴先生の思い出
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
悩まされて来た
驚心
(
きょうしん
)
、
駭目
(
がいもく
)
すべき
天変地妖
(
てんぺんちよう
)
、又は自然
淘汰
(
とうた
)
、生存競争から受けて来た息も
吐
(
つ
)
かれぬ災難、迫害、辛苦、
艱難
(
かんなん
)
に関する体験を、胎児自身の直接、現在の主観として
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
安穏
(
あんのん
)
に眠を
貪
(
むさぼ
)
っていた官吏社会をはじめての恐慌が襲ったのである。維新当座どさくさまぎれに登用された武士階級中の老年者とか無能者とか、たいていそういう人々が
淘汰
(
とうた
)
された。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
明治以来の品種
淘汰
(
とうた
)
の動きの中にすらも、なお家の種子を重んずる感じが見られる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
去年の暮の試験に大
淘汰
(
とうた
)
があって、どの級からも退学になったものがあった。そしてこの犠牲の候補者は過半軟派から出た。埴生なんぞのようなちびさえ一しょに退治られたのである。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
知らず
識
(
し
)
らずの間に撰択せられ
淘汰
(
とうた
)
せられ整理せられているものであることは、少しく自己の心生活を内省するものの何人も知悉するところであり、次から次へと刻々に継起する心象は
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
輝くものはおのずから評判になって知れわたり、ひとびとの間にうわさの種をまいて、口から口へと次々に語りつたえられるうちに、なんらかの点でぐあいのわるいところは自然に
淘汰
(
とうた
)
せられて
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
月が変ってから寒さがだいぶ
緩
(
ゆる
)
んだ。官吏の増俸問題につれて必然起るべく、多数の
噂
(
うわさ
)
に上った局員課員の
淘汰
(
とうた
)
も、月末までにほぼ片づいた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不自然なものが
淘汰
(
とうた
)
を受けるのは、この世の固い理法である。私は今、二つの国にある不自然な関係が正される日の来ることを、切に希っている。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その疑いのあるものは
淘汰
(
とうた
)
して他に転ずるかあるいはまた前に述べたこともあるとおり、かくして不合格になったものを仮想的第二次前句と見立ててこれに対する付け句を求め
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
格言が民衆の間で長期の
淘汰
(
とうた
)
を経て来たものであるに対し、孔子の語は代々の学者の間で試練を経て来た。そうしてそれが深い人生の智慧を語るものとして生き残って来たのである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
適せぬ団体は次第に滅び
失
(
う
)
せ、自然
淘汰
(
とうた
)
が行なわれて団体を勝たしめた性質は一代ごとに進歩し、ついには同一団体内の個体間には少しも暴力と詐欺とが行なわれず、すべての個体が力をあわせて
自然界の虚偽
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
なぜ東西で美の標準がこれほど違うかと思うと、ちょっと不思議だろう。ところがじつはなんでもない。西洋には目の大きいやつばかりいるから、大きい目のうちで、美的
淘汰
(
とうた
)
が行なわれる。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで材料は第二段の
淘汰
(
とうた
)
を受けることになる。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自然に
淘汰
(
とうた
)
せられんとした男、さしたる過去を持たぬ男に、
忙
(
いそが
)
しい世が、これほどの手間と時間と親切をかけてくれようとは夢にも待設けなかった余は、
病
(
やまい
)
に生き
還
(
かえ
)
ると共に、心に生き還った。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“淘汰”の意味
《名詞》
淘 汰(とうた、淘は選び分ける、汰は水で洗って劣悪なものを流し去るの意。)
選びぬくこと。
取捨選択して良いものを選び悪いものを捨てること。
洗って清める。
(出典:Wiktionary)
淘
漢検準1級
部首:⽔
11画
汰
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
“淘”で始まる語句
淘
淘宮
淘宮術
淘綾
淘々然
淘宮学