油蟲あぶらむし)” の例文
新字:油虫
「町内の油蟲あぶらむし——釣鐘つりがねの勘六が、血だらけの匕首あひくちを持つて、ぼんやり立つてゐるところを、多勢の人に見られてしまつたんで」
それははねあかいので赤蠅あかばへ土地とちではいつてる。はひでは油蟲あぶらむしくのはどうも出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
こはいのがごそりとげると……靴下くつしたならまだい「なに體裁ていさいなんぞ、そんなこと。」邊幅へんぷくしうしないをとこだから、紺足袋こんたびで、おやゆびさきおほきなあなのあいたのが、油蟲あぶらむしはさんだごとあらはれた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
病院びやうゐん小使こづかひ看護婦かんごふ子供等抔こどもらなどみな患者くわんじや病室びやうしつに一しよ起臥きぐわして、外科室げくわしつには丹毒たんどくえたことはい。患者等くわんじやら油蟲あぶらむし南京蟲なんきんむしねずみやからてられて、んでゐることも出來できぬと苦情くじやうふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)