武士さむらひ)” の例文
あのとき愚老ぐらう不審ふしんおもひました。岸和田藩きしわだはんのお武士さむらひ夜分やぶん内々ない/\えまして、主人しゆじん美濃守みののかみ急病きふびやうなやんでゐるによつててくれとのおはなし
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
それとよくてゐるのは、松平大進たいしんといふ武士さむらひのやり方で、酒宴さかもりになると、きまつて長羅宇ながらうで、すぱりすぱりと煙草をふかし出す。
退身たいしん流浪るらうの身と成りしが二君に仕へるは武士さむらひ廉恥はぢいる所成れ共座してくらへば山もむなし何れへか仕官しくわんつかんと思ひしに不幸にも永のわづらひに夫も成らず困苦こんくに困苦を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんの相手が武士さむらひぢやとて怖ろしいことがあらうか。かたきは妾ひとりで見事に討つてみせう。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
太平の世の春愁は、肩で風切る武士さむらひの腰の物に、わざと触つて見る市井の無頼児である。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
甲冑に身をかためた厳めしい武士さむらひも、毛鞘の刀をさした立派な大将も、すつかりてれてしまひました。だつて皆が、「秀ちやん/\」といつて此方には少しも頓着しなくなつてしまつたのですもの。
泣き笑ひ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
武士さむらひや職人や商人あきんどは何程づつよろしうございますか。」
蚊帳の釣手 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
物むつかしき武士さむらひをぢも來ましき。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
人を切るのが武士さむらひならば
やりは錆ても武士さむらひ
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「をツさんも古いもんやな。芝居の舞臺で見るのと違うて、二本差したほんまの武士さむらひを見てやはるんやもんなア。」
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
分別ざかりの武士さむらひが理不盡の刃物三昧、おとなげないと思ふなよ。覺悟はして來ても、人のこゝろは弱いもの、現在の甥を切らうとする腕は鈍つて、撃ち損じたが殘念だわえ。さあ、外記。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
兼治かねはる? 然うです/\、何だか武士さむらひの樣な名だと思ひました。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「をツさんも古いもんやな。芝居の舞台で見るのと違うて、二本差したほんまの武士さむらひを見てやはるんやもんなア。」
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
『兼治? 然うです/\、何だか武士さむらひの様な名だと思ひました。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あゝなんの因果で武士さむらひの子に生れたか。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
……武士さむらひの刀の先きへどたま打付けたんやもん。武士が怒りよれへんかと思うて、痛いより怖かつたのなんのて。……其の武士が笑うてよつた顔が今でも眼に見えるやうや。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
「わしも一町や二町、あれで乘りましたやろ。駕籠の側離れると病人がわめき出してころげ出さうとするもんやよつて、到頭駕籠脇かごわき武士さむらひみたいなことを初めて勤めてしまうた。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
……武士さむらひの刀の先きへどたま打付けたんやもん。武士さむらひが怒りよれへんかと思うて、痛いより怖かつたのなんのて。………其の武士さむらひが笑うてよつた顏が今でも眼に見えるやうや。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)