枯芝かれしば)” の例文
西風にしかぜかはちるとき西岸せいがんしのをざわ/\とゆるがす。さら東岸とうがん土手どてつたうてげるとき土手どてみじか枯芝かれしば一葉ひとはづゝはげしくなびけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その証拠と云うのは、乾板のある場所で廻転した際と、枯芝かれしばまたぎ越した時と——その二つの場合に、利足ききあしがどっちの足か吟味してみるんだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
このへんの水の在る所で今夜はこの枯れた樹を集めて、まあ火がよく出来るという考えでその辺の池のある所に荷を卸してまた例のごとく枯芝かれしばを集め野馬の糞を拾ってその夜はごく安楽に
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
雪の降つた公園の枯芝かれしばは何よりも砂糖漬にそつくりである。
都会で (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
枯芝かれしばあひだにどうしたものかまぐれな蒲公英たんぽ黄色きいろあたまがぽつ/\とえる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けぶりなかにはしろはひあとから/\とたつちた。與吉よきちはいつも彼等かれら伴侶なかまとも路傍みちばた枯芝かれしばてんじて、それがくろあとのこしてめろめろとひろがるのをるのが愉快ゆくわいでならなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)