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ひかげもの
ふりがな文庫
“
日蔭者
(
ひかげもの
)” の例文
第一その学校は、この前のような
日蔭者
(
ひかげもの
)
の学校ではなかった。設備の整った堂々たる学校であったように私には思われる。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
こうした
日蔭者
(
ひかげもの
)
の気楽さに
馴
(
な
)
れてしまうと、今更何をしようという野心もなく、それかと言って自分の愚かさを
自嘲
(
じちょう
)
するほどの感情の
熾烈
(
しれつ
)
さもなく
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
つまり、この女は、我身を一生
日蔭者
(
ひかげもの
)
にし、親子の縁を切てまでも、恋の恨みをはらしたかったのだ。無論永久に絹川雪子に化けていることは出来ない。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
然
(
しか
)
るに
貴様
(
あなたさま
)
との関係と同じく
矢張
(
やはり
)
男の家で結婚を許さない、その
為
(
た
)
め男は
遂
(
つひ
)
に家出して今は
愛宕町
(
あたごちやう
)
何丁目何番地
小川方
(
をがはかた
)
に二人して
日蔭者
(
ひかげもの
)
の
生活
(
くらし
)
をして居る。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「あの
日蔭者
(
ひかげもの
)
の
陰気
(
いんき
)
な
唄
(
うた
)
と、
私
(
わたし
)
の
唄
(
うた
)
とくらべものになるかい。お
日
(
ひ
)
さまにうかがってみても、どちらが
上手
(
じょうず
)
かわかることだ。」と、かえるは、ひとり
言
(
ごと
)
をしたのでした。
春の真昼
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
これはかねてから
日蔭者
(
ひかげもの
)
でいた林友吉を、どうかして大手を振って歩けるようにして遣りたいと思っていた矢先だったから、絶好の
機会
(
チャンス
)
と思って提案した訳だったがね。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その
儚
(
はかな
)
い短い生涯を、針のむしろに耐えて、井の中の蛙みたいな事大主義の連中からまで、何で、
猜疑
(
さいぎ
)
され、
軽蔑
(
けいべつ
)
され、ひとり
怏々
(
おうおう
)
と
日蔭者
(
ひかげもの
)
じみた日々を過ごしていなければならないか。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは松木と五代は極々
日蔭者
(
ひかげもの
)
で、青天白日の身と云うのは清水一人、そこで清水が
先
(
ま
)
ず横浜に
上
(
あがっ
)
て、夫れから
亜米利加
(
アメリカ
)
人のヴエンリートと云う人にその話をした所が、
如何
(
どう
)
でも周旋しよう
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いや、恐らく其は不可能のことゝ謂はなければならぬ。と謂つて周三は、人權を
蹂躪
(
じうりん
)
して、お房を
日蔭者
(
ひかげもの
)
にして圍ツて置くだけの
勇
(
ゆう
)
氣も無かツた。これがまた
新
(
あたら
)
しい煩悶となツて、彼を惱ませる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
省作の胸中は失意も憂愁もないのだけれど、周囲からやみ雲にそれがあるように取り扱われて、何となし世間と隔てられてしまった。それでわれ知らず
日蔭者
(
ひかげもの
)
のように、七、八日奥座敷を出ずにいる。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
お
品
(
しな
)
の
家族
(
かぞく
)
は
何處
(
どこ
)
までも
日蔭者
(
ひかげもの
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
日蔭者
(
ひかげもの
)
、という言葉があります。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「一口にいうと
日蔭者
(
ひかげもの
)
だ」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
日蔭者
(
ひかげもの
)
の身ではなあ」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
市子はその時分
日蔭者
(
ひかげもの
)
の母親が
羨
(
うらや
)
ましがったほど幸福ではなく、縁づいた
亭主
(
ていしゅ
)
に死なれ、
姑
(
しゅうとめ
)
との折合いがわるくて、実家へ帰ったが、実家もすでに兄夫婦親子の世界で
居辛
(
いづら
)
く
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
蔭
漢検準1級
部首:⾋
14画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“日蔭”で始まる語句
日蔭
日蔭町
日蔭券
日蔭干
日蔭物
日蔭蔓
日蔭町物
日蔭躑躅