抱一はういつ)” の例文
貴方あなた、あの屏風びやうぶつちや不可いけなくつて」と突然とつぜんいた。抱一はういつ屏風びやうぶ先達せんだつ佐伯さへきから受取うけとつたまゝもととほ書齋しよさいすみてゝあつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
白猿はくゑん余光よくわう抱一はういつ不白ふはくなどのもとへも立入たちいるやうになり、香茶かうちや活花いけばなまで器用であはせ、つひ此人このひとたちの引立ひきたてにて茶道具屋ちやだうぐやとまでなり、口前くちまへひとつで諸家しよけ可愛かあいがられ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
そしてあれならば大名などが静謐せいひつな部屋に置いて落著おちついて鑑賞することも出来るし、光琳くわうりん抱一はういつの二家が臨摸りんぼして後の世まで伝はつてゐるのもさういふわけあひで、肉体的に恐ろしくないからである。
雷談義 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
床の間にかけた抱一はういつも本物らしく受け取れない。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
宗助そうすけよこになつて烟草たばこかしながら、これより以上いじやうなんともかたらなかつた。小六ころくだまつて、座敷ざしきすみてゝあつた二枚折まいをり抱一はういつ屏風びやうぶながめてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これでもなんでせうかね」といたことがあつた。そのとき宗助そうすけはじめて抱一はういつ御米およね説明せつめいしてかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)