憂愁いうしう)” の例文
憂欝いううつの色が見えるんですもの、そりや梅子さん貴嬢ばかりぢやない、誰でも、としと共に苦労も増すにきまつて居ますがネ、だ私、貴嬢の色に見ゆる憂愁いうしうの底には
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
このあひだにありて憂愁いうしうはらり、心身しん/\なぐさめたるものは、じつ灌水くわんすゐなりとす。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
三杯目の酒を口にふくんで、幾分か重苦しい憂愁いうしうの車が滑り出した気がした。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
醫者いしやは一がう倍量ばいりやう注射ちうしやした。しかしそれは徒勞とらうであつた。病人びやうにん發作ほつさあひだみじかくなつた。病人びやうにんそのたび呼吸こきふ壓迫あつぱくかんじた。近所きんじよものも三四にん苦惱くなうする枕元まくらもとみな憂愁いうしうつゝまれた。おしな突然とつぜん
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
われも心に「憂愁いうしう」のたねかれぬ
憂愁いうしうを風は葉並に囁きぬ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
憂愁いうしうのこれや野の国
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
篠田は梅子の肩、両手もろてに抱きて「心弱きものと御笑ひ下ださいますな——アヽ今こそ此心晴れ渡りて、一点憂愁いうしう浮雲ふうんをも認めませぬ、——然らば梅子さん、是れでお訣別わかれ致します」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
われこそは憂愁いうしう宿やどなれ、戸なれ。
あはれ今 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
憂愁いうしうおもひにくれて吐息がち
きその日は (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)