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愛惜
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あいじゃく
ふりがな文庫
“
愛惜
(
あいじゃく
)” の例文
が、
少
(
すくな
)
からず
愛惜
(
あいじゃく
)
の念を生じたのは、おなじ
麹町
(
こうじまち
)
だが、
土手三番町
(
どてさんばんちょう
)
に
住
(
すま
)
った頃であった。春も深く、やがて
梅雨
(
つゆ
)
も近かった。……庭に柿の老樹が一株。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その作たる、われながら見とれるほどの出来と見ましたけれど、白雲はそれに
愛惜
(
あいじゃく
)
するの
暇
(
いとま
)
を与えずに、早くもここを出立するの用意を整えてしまい
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
紫の
紐
(
ひも
)
を以て
髻
(
もとどり
)
を
結
(
ゆ
)
うのが、当時の官吏の
頭飾
(
とうしょく
)
で、優が何時までその髻を
愛惜
(
あいじゃく
)
したかわからない。人はあるいは抽斎の子供が何時斬髪したかを問うことを
須
(
もち
)
いぬというかも知れない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ただ、幸いにしてこの
市
(
まち
)
の川の水は、いっさいの反感に打勝つほど、強い
愛惜
(
あいじゃく
)
を自分の心に喚起してくれるのである。松江の川についてはまた、この稿を次ぐ機会を待って語ろうと思う。
松江印象記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それでも旅から旅へうつる瞬間には、どうしてもこの哀愁を
逃
(
のが
)
れることができない。哀愁に伴うて起る
愛惜
(
あいじゃく
)
の念が、
流転
(
るてん
)
きわまりなき人生に糸目をつける。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
あれ、かしこに母君
在
(
まし
)
ますぞや。
愛惜
(
あいじゃく
)
の一念のみは、魔界の
塵
(
ちり
)
にも曇りはせねば、我が袖、鏡と御覧ぜよ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは平井氏も、池田氏も、戴曼公の遺品を
愛惜
(
あいじゃく
)
する縁故があるからである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
心着けば
土饅頭
(
どまんじゅう
)
のいまだ新らしく見ゆるにぞ、激しく往時を追懐して、無念、
愛惜
(
あいじゃく
)
、絶望、悲惨、そのひとつだもなおよく人を殺すに足る、いろいろの感情に胸をうたれつ。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえ祖先伝来の爵位と家産を失うとも、この書物を失うには忍びないというのが駒井の
愛惜
(
あいじゃく
)
でした。そうして、それをこの船まで持込んだことに於ては、今でも悔いてはいないのです。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
同時に、
愛惜
(
あいじゃく
)
の念に堪えない。ものあわれな女が、一切食われ一切食われ、木魚に
圧
(
おさ
)
え
挫
(
ひし
)
がれた、……その手提に見入っていたが、腹のすいた
狼
(
おおかみ
)
のように庫裡へ首を
突込
(
つっこ
)
んでいて
可
(
い
)
いものか。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれはもう
忌明
(
いみあけ
)
だ、思い出せば
不憫
(
ふびん
)
と思いやられぬことはないが、いつまでも
愛惜
(
あいじゃく
)
を追うのは、それ、
冥路
(
よみじ
)
のさわりというものでな、今では、さっぱりとあきらめている、いまさら思い出して
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鑿
(
のみ
)
を振り上げながら、一種の
愛惜
(
あいじゃく
)
、
未練
(
みれん
)
——或いは別な意味での尊重に対する観念を起させたと見えて、金槌を振り上げたなりで、ずいぶん長いことの間、その悪女像を見つめていたのですが
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
咽喉
(
のど
)
を突かれてでも、居はしまいか、
鳩尾
(
みずおち
)
に
斬
(
き
)
ったあとでもあるまいか、ふと
愛惜
(
あいじゃく
)
の念
盛
(
さかん
)
に、
望
(
のぞみ
)
の糸に
縋
(
すが
)
りついたから、危ぶんで、七兵衛は胸が
轟
(
とどろ
)
いて、慈悲の外何の色をも交えぬ
老
(
おい
)
の
眼
(
まなこ
)
は
塞
(
ふさ
)
いだ。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“愛惜”の意味
《名詞》
愛 惜 (あいせき、あいじゃく)
執着して惜しむこと。
(出典:Wiktionary)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
惜
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“愛”で始まる語句
愛
愛嬌
愛想
愛撫
愛宕
愛宕山
愛相
愛憎
愛娘
愛敬