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ぐぶつ
ふりがな文庫
“
愚物
(
ぐぶつ
)” の例文
彼は平生から世間へ出る多くの人が、出るとすぐ書物に遠ざかってしまうのを、さも下らない
愚物
(
ぐぶつ
)
のように細君の前で
罵
(
ののし
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あとに残ったのは竜之助と、かの変人、実は変人でも
愚物
(
ぐぶつ
)
でもない、水戸の人で山崎
譲
(
ゆずる
)
。新徴組の一人で、
香取
(
かとり
)
流の棒をよく使います。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
殊に外国の従軍武官は、
愚物
(
ぐぶつ
)
の名の高い一人でさえも、この花やかさを
扶
(
たす
)
けるためには、軍司令官以上の効果があった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『いや、あれはまったくの
愚物
(
ぐぶつ
)
ですよ』と、この部屋にいたもうひとりの
紳士
(
しんし
)
が言いました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
四千万の
愚物
(
ぐぶつ
)
と天下を
罵
(
ののし
)
った彼も
住家
(
すみか
)
には閉口したと見えて、その愚物の中に当然勘定せらるべき妻君へ向けて委細を報知してその意向を確めた。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
三男の蟹は
愚物
(
ぐぶつ
)
だったから、蟹よりほかのものになれなかった。それが
横這
(
よこば
)
いに歩いていると、握り飯が一つ落ちていた。握り飯は彼の好物だった。彼は大きい
鋏
(
はさみ
)
の先にこの
獲物
(
えもの
)
を拾い上げた。
猿蟹合戦
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
敬太郎は
傍
(
はた
)
で自分を見たらさぞ気の
利
(
き
)
かない
愚物
(
ぐぶつ
)
になっているんだろうと考えながらも、やっぱり苦しい思いをして田口と共に笑わなければいられなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし聞かれた以上はどっちか片づけなければならん。どうでもいい事を、どうでもよくないように決断しろと
逼
(
せま
)
らるる事は
賢者
(
けんじゃ
)
が
愚物
(
ぐぶつ
)
に対して払う租税である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
直截
(
ちょくせつ
)
に生活の
葛藤
(
かっとう
)
を切り払うつもりで、かえって
迂濶
(
うかつ
)
に山の中へ迷い込んだ
愚物
(
ぐぶつ
)
であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
直截
(
ちよくせつ
)
に
生活
(
せいくわつ
)
の
葛藤
(
かつとう
)
を
切
(
き
)
り
拂
(
はら
)
ふ
積
(
つも
)
りで、
却
(
かへ
)
つて
迂濶
(
うくわつ
)
に
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
へ
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
んだ
愚物
(
ぐぶつ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
御礼なんか聞きたかあないやね——おやまた笑ってるよ。お前はよっぽど
愚物
(
ぐぶつ
)
だね。——仰せの通りだって?——あんまり人を馬鹿にすると電話を切ってしまうよ。いいのかい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
広田の
家
(
うち
)
へ泊るべきのを、また妹がだだをこねて、ぜひ病院に泊れと言って聞かないから、やむをえず狭い所へ寝たら、なんだか苦しくって寝つかれなかった。どうも妹は
愚物
(
ぐぶつ
)
だ。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は父に対する
毎
(
ごと
)
に、
父
(
ちゝ
)
は自己を
隠蔽
(
いんぺい
)
する
偽君子
(
ぎくんし
)
か、もしくは分別の足らない
愚物
(
ぐぶつ
)
か、
何方
(
どつち
)
かでなくてはならない様な気がした。さうして、
左
(
さ
)
う云ふ気がするのが
厭
(
いや
)
でならなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
敬太郎には騙された自分の方が
遥
(
はる
)
かに
愚物
(
ぐぶつ
)
に思われた。そうと知ったら、探偵の結果を報告する時にも、もう少しは手加減が出来たものをと、
自
(
おのず
)
から
赧
(
あか
)
い顔もしなければならなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は
爛酔
(
らんすい
)
の
真最中
(
まっさいちゅう
)
にふと自分の位置に気が付くのです。自分はわざとこんな
真似
(
まね
)
をして己れを
偽
(
いつわ
)
っている
愚物
(
ぐぶつ
)
だという事に気が付くのです。すると
身振
(
みぶる
)
いと共に眼も心も
醒
(
さ
)
めてしまいます。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
広田のうちへ
泊
(
とま
)
るべきのを、又妹が駄々を
捏
(
こ
)
ねて、是非病院に
泊
(
とま
)
れと云つて聞かないから、已を得ず
狭
(
せま
)
い所へ寐たら、何だか苦しくつて
寐
(
ね
)
つかれなかつた。どうも妹は
愚物
(
ぐぶつ
)
だ。と又妹を攻撃する。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人はかくのごとく
愚物
(
ぐぶつ
)
だから
厭
(
いや
)
になる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
愚
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“愚物”で始まる語句
愚物樣