恐怖心きようふしん)” の例文
かれ反目はんもくしてるだけならばひさしくれてた。しかかれ從來じゆうらいかつてなかつた卯平うへい行爲かうゐはじめて恐怖心きようふしんいだいたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かくして最初さいしよ一分間いつぷんかんしのたならば、最早もはや不安ふあんおもふべき何物なにもののこさないはずであるが、たゞこれに今一いまひと解説かいせつして必要ひつようのあるものは、地割ぢわれにたいしてあやまれる恐怖心きようふしんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
勘次かんじはたけ蜀黍もろこし被害者ひがいしやがいつたやうに、なさけないやうな見窄みすぼらしいがさらりとつてそれでも恐怖心きようふしんられたといふやうに特有もちまへな一しゆさわがしいひゞきてつゝあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
醫者いしやは一おうなければわからぬといつて五月蠅うるさ勘次かんじ返辭へんじしなかつた。おしな病體びやうたいけると醫者いしや有繋さすがくびかたぶけた。それが破傷風はしやうふう徴候てうこうであることをつて恐怖心きようふしんいだいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)