御屋敷おやしき)” の例文
旧藩主は町の一部に、別の御屋敷おやしきをもって、一年の半ばは其処に住んでおられた。そして人々はお正月には「殿様のところへ伺候しこうする」習慣をずっと守っていた。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
愚僧は芝山内しばさんない青樹院せいじゅいんと申す学寮の住職雲石殿うんせきどの年来ねんらい父上とは昵懇じっこんの間柄にて有之候まゝ、右の学寮に寄宿つかまつり、従前通り江戸御屋敷おやしき御抱おかかえの儒者松下先生につきて朱子学しゅしがく出精罷在まかりあり候処
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
さしいそがせられすでに伊豆守殿御屋敷おやしき御玄關おげんくわんへ懸て奉行ぶぎやう越前守伊豆守殿へ内々ない/\御目通おめどほり致度と申入るに取次の者此趣このおもむきを申上ければ伊豆守殿不審ふしんに思はれ奉行越前は昨夜さくやの内に御役おやく御免を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
奇變あやなししやう三郎にいつはりていま辨濟へんさいせざれども長兵衞は催促さいそくもなさず彼是するうちまたとしすぎ翌年よくどしなり身代しんだいひだり前にて難儀なんぎなるよしちう八より申せしかば庄三郎も不審ふしんに思ひ何とて其樣そのやうなりしぞと云に忠八御屋敷おやしき普請ふしんぞんじのほかつもちがひにて一はこ損金そんきんになり其外そのほか彼是かれこれにて二千兩餘のそんに爲たりとくちから出任でまかせにいつはるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
誘引さそふ雪風の身に染々と冷るに何此眞夜中まよなかの大雪にばん建部たてべの計りし事ゆゑ首尾能しゆびよく御屋敷おやしきのがれ出給ふ共自然と途中にて凍えは爲給したまはぬかさぞや夜道は御難儀ならんと老の心のやるせなく女房にむかひコレお時やアヽ何も己は御二人樣の事が案事あんじられてならぬ今夜も彼是もう今に寅刻なゝつなれば今迄沙汰のないは萬一ひよつと渠等かれらが仕そんじは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)