強盗ごうとう)” の例文
旧字:強盜
「わたしは、金をわたしながら、左手にかくし持っていたおのでもって、ガンとひと打ち、強盗ごうとうのひたいにくれてやったのでした。」
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
隆房大納言たかふさだいなごんが、検非違使けびいし(警視庁と裁判所をかねたもの)の別当(長官)であった時の話である。白川のある家に、強盗ごうとうが入った。
女強盗 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
三人が留置場りゅうちじょうから出たときには、仕事がなくて、食べるに困った。その結果、とうとう悪の道へはいりこんで強盗ごうとうをはたらいた。
一坪館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いつめた渡り職人、仕事にはなれた土方、都合つごう次第で乞食になったり窃盗せっとうになったり強盗ごうとうになったり追剥おいはぎになったりする手合も折々おりおり来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
どの島も、まるで強盗ごうとうの手にかかったように、裸にされ、はぎとられてしまいます。ところが、だんだんすすむうちに、小さな島がたくさんになってきます。
「あとはたのむぜ、おれは強盗ごうとうの親玉を退治たいじたんだから、これから警察へごほうびをもらいにゆくんだ」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
強盗ごうとう出逢であったような、居もせぬやっこを呼んだのも、我ながら、それにさへ、動悸どうきは一倍高うなる。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
総て支那社会に起る暗殺、掠奪、ピス強盗ごうとうの行為は、ほとんど皆此等青紅幇の手にらざるものなく、近頃市上で時々起る銭荘せんそう荒しのピス強盗の如きも大部分は彼等の荒行こうこうである。
そのいぬを見れば主人の人がらもわかるものだ。悪人の飼っている犬はやはり悪ものだ。強盗ごうとうの犬はどろぼうをする。ばかな百姓ひゃくしょうが飼い犬はばかで、もののわからないものだ。
明治十ねんごろまでは強盗ごうとうしたり乱暴狼藉ろうぜきした者に、なぜそんなことをしたかと聞くと、国をうれいて大いに旗上はたあげするつもりであるといった。また地租ちそ改正のとき、あっちこっちでさわいだ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
すると番附には「ピストル強盗ごうとう清水定吉しみずさだきち大川端おおかわばた捕物とりもの」と書いてあった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「そりゃあおまえ、だれがみたって強盗ごうとうというもんだぞ。」
戦いに次ぐ恐怖は、強盗ごうとうだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
強盗ごうとうと出かけるんだ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今まさに、強盗ごうとうの足にくいつこうとしています。よく見てください。これが目です。これが耳です。これが前足で、これがあと足です。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
つまり昔からありました、強盗ごうとうだのギャングだのが。今の強盗やギャングの中には、原子弾を使う奴がいるのです。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
界隈かいわい野犬やけんが居て、あるいは一疋、ある時は二疋、稲妻いなずま強盗ごうとうの如く横行し、夜中鶏を喰ったり、豚を殺したりする。ある夜、白が今死にそうな悲鳴をあげた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
英雄一たびその志すところに失敗せば、かの行為は、奸賊かんぞく強盗ごうとうの行為をもって目せらる。我らは衆人環視のうちに捕えられいましめられ、暗獄あんごくのうちに幽閉ゆうへいせられる。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しょってでろ、いいか、助役のせがれが強盗ごうとうにでても警察では豆腐屋を保護してくれないんだからな
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
このとき重税を課しては国のためにうれうべき事であると、佐倉宗吾さくらそうごを気取ったまではいいが、佐倉宗吾のように命を捨てたかといえば、なかなか捨てるどころか、かえって強盗ごうとう強姦ごうかんしたものもある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
朝になってみると、さく夜、村でいちばん金持ちの地主さんのやしきに、おしいり強盗ごうとうがあったことがわかりました。強盗はひとりでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
つまり昔からありました、強盗ごうとうだのギャングだのが。今の強盗やギャングの中には、原子弾を使う奴がいるのです。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「同志会の幹事かんじ強盗ごうとうの親分である」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「今日はもう遅いから、早く帰らないと、途中があぶないんだ。さかんに強盗ごうとうが出るというからねえ」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのころ新聞には、毎日のように強盗ごうとう事件が報道されていた。一夜のうちに、強盗の手にわたる金額は何十万円、何百万円にのぼった。源一は、まさか強盗になろうという気はしなかった。
一坪館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「じゃあ、強盗ごうとうでもあらわれるのですか」
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)