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幾軒
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いくけん
屋根の
低い、
暗い
小さな
家が
幾軒もあって、
家の
中には
竹ぐしを
造ったり、つまようじを
削ったり、
中には
状袋をはったりしている
男も、
女もあった。
そして
其向ふに、同じつくりの二階屋がずらりと
幾軒も並んで、
其の裏を見せて
居る。二階屋の裏!
其処には
蚊帳が釣つたまゝになつて
居る
家もあつた。
其外の百
姓家とても
數える
計り、
物を
商ふ
家も
準じて
幾軒もない
寂寞たる
溪間! この
溪間が
雨雲に
閉されて
見る
物悉く
光を
失ふた
時の
光景を
想像し
給へ。
一
方には、いままでの
金持ちが
貧乏して、
着物を
売るやら、
家宝を
売るというふうで、
町にも、
幾軒か、こっとう
店ができたのだよ。
新興成金を
目あてにね。
けれど、この
村から、おじいさんの
住んでいる
山の
中までは、一
里近く、
峠つづきの
細い
道を
歩かなければならぬのでした。
山には、
幾軒も
家がなかったのです。
「じき、すこしゆくとにぎやかな
町になります。そこには、
幾軒もお
医者さまがあります。」