幾軒いくけん)” の例文
屋根やねひくい、くらちいさないえ幾軒いくけんもあって、いえなかにはたけぐしをつくったり、つまようじをけずったり、なかには状袋じょうぶくろをはったりしているおとこも、おんなもあった。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてその向ふに、同じつくりの二階屋がずらりと幾軒いくけんも並んで、の裏を見せてる。二階屋の裏! 其処そこには蚊帳かやが釣つたまゝになつていへもあつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
其外そのほかの百姓家しやうやとてもかぞえるばかり、ものあきないへじゆんじて幾軒いくけんもない寂寞せきばくたる溪間たにま! この溪間たにま雨雲あまぐもとざされてものこと/″\ひかりうしなふたとき光景くわうけい想像さう/″\たまへ。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ぽうには、いままでの金持かねもちが貧乏びんぼうして、着物きものるやら、家宝かほうるというふうで、まちにも、幾軒いくけんか、こっとうてんができたのだよ。新興成金しんこうなりきんあてにね。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、このむらから、おじいさんのんでいるやまなかまでは、一ちかく、とうげつづきのほそみちあるかなければならぬのでした。やまには、幾軒いくけんいえがなかったのです。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「じき、すこしゆくとにぎやかなまちになります。そこには、幾軒いくけんもお医者いしゃさまがあります。」
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)