幾日いくひ)” の例文
『そうそう。仁和寺にんなじへゆく日は、もう幾日いくひもないのであろな……』上皇は、ふと、公卿たちのいかめしげな物議ぶつぎを、あらぬ方へ、わされて——
うすらぐべきよしもなくて、をうみ梅實うめおつおともそゞろさびしき幾日いくひ、をぐらきまどのあけくれに、をちかへりなく山時鳥やまほとゝぎすの、からくれなゐにはふりでねど
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから幾日いくひか経て八月十七日にギャア・ニマという市場しじょうに着きました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
苦しさに声うちあぐるたはやすけどおとなしく堪へて幾日いくひこもるは
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
幾日いくひ幾夜いくよの 熱病ののちなる
無題 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
幾日いくひにけん。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はらわたえざらんぎりなきこゝろのみだれ忍艸しのぶぐさ小紋こもんのなへたるきぬきてうすくれなゐのしごきおび前に結びたる姿(すが)たいま幾日いくひらるべきものぞ年頃としごろ日頃ひごろ片時かたときはなるゝひまなくむつひしうちになどそここゝろれざりけんちいさきむね今日けふまでの物思ものおもひはそも幾何いくばく昨日きのふ夕暮ゆふぐれふくなみだながらかたるを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)