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尊
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たっ
ふりがな文庫
“
尊
(
たっ
)” の例文
そこへ気がついた時が人間の
生涯
(
しょうがい
)
中もっともありがたい期節である。自分で自分の馬鹿を承知しているほど
尊
(
たっ
)
とく見える事はない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さても
斯様
(
かよう
)
な地獄の起りが。
曰
(
いわ
)
く因縁イロハのイの字の。そもや初めと尋ねるならば。文明開化のお
蔭
(
かげ
)
と御座る。そこで世界の文明開化の。日進月歩の由来と申せば。科学知識の
尊
(
たっ
)
とい
賜物
(
たまもの
)
。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さてその死なぬと申すは、近く申さば
釈迦
(
しゃか
)
の孔子のと申す
御方
(
おんかた
)
には、今日まで生きて御坐る故、人が
尊
(
たっ
)
とみもすればありがたがりもおそれもする、果して死なぬではないか〔一種霊魂不滅の観念〕。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
けれども彼等の義務の
中
(
うち
)
に、半分の好意を
溶
(
と
)
き
込
(
こ
)
んで、それを病人の眼から
透
(
す
)
かして見たら、彼等の
所作
(
しょさ
)
がどれほど
尊
(
たっ
)
とくなるか分らない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを思うと
清
(
きよ
)
なんてのは見上げたものだ。教育もない身分もない
婆
(
ばあ
)
さんだが、人間としてはすこぶる
尊
(
たっ
)
とい。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「眠気を催おすところが好いんだ。人間でもそうだ。眠気を催おすような人間はどこか
尊
(
たっ
)
といところがある」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何の
因果
(
いんが
)
でこうまで事を細かに刻まなければ生きて行かれないのかと考えて情なかった。僕は
茶碗
(
ちゃわん
)
を
膳
(
ぜん
)
の上に置きながら、作の顔を見て
尊
(
たっ
)
とい感じを起した。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「饂飩屋だって正業だ。金を積んで、貧乏人を圧迫するのを道楽にするような人間より
遥
(
はる
)
かに
尊
(
たっ
)
といさ」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日の照らない
坑
(
あな
)
の底で、世から、人から、歴史から、太陽からも、忘れられた二人が、ありがたい
誨
(
おしえ
)
を垂れて、
尊
(
たっ
)
とい涙を流した舞台があろうとは、胡坐をかいて
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてその好意が先方に通じるのが、私にとっては、何よりも
尊
(
たっ
)
とい報酬なのです。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただこの景色が——腹の
足
(
た
)
しにもならぬ、月給の補いにもならぬこの景色が景色としてのみ、余が心を楽ませつつあるから苦労も心配も
伴
(
ともな
)
わぬのだろう。自然の力はここにおいて
尊
(
たっ
)
とい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてそれが
尊
(
たっ
)
とい文芸上の
作物
(
さくぶつ
)
を読んだあとの気分と同じものだという事に気がついた。有楽座や帝劇へ行って得意になっていた自分の過去の影法師が何となく浅ましく感ぜられた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
独立した人間が頭を下げるのは百万両より
尊
(
たっ
)
といお礼と思わなければならない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あらゆる芸術の士は人の世を
長閑
(
のどか
)
にし、人の心を豊かにするが
故
(
ゆえ
)
に
尊
(
たっ
)
とい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
胸のあたりは北風の吹き抜けで、
肋骨
(
ろっこつ
)
の枚数は自由に読めるくらいだ。この釈迦が
尊
(
たっと
)
ければこの兵士も
尊
(
たっ
)
といと云わねばならぬ。
昔
(
むか
)
し
元寇
(
げんこう
)
の
役
(
えき
)
に
時宗
(
ときむね
)
が
仏光国師
(
ぶっこうこくし
)
に
謁
(
えっ
)
した時、国師は何と云うた。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし年の若い私たちには、この
漠然
(
ばくぜん
)
とした言葉が
尊
(
たっ
)
とく響いたのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「死は生よりも
尊
(
たっ
)
とい」
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“尊”の意味
《名詞》
(ソン)中国古代の酒器。
(みこと)神や神格化された人物に付ける敬称。
(出典:Wiktionary)
尊
常用漢字
小6
部首:⼨
12画
“尊”を含む語句
尊敬
尊重
尊者
日本武尊
素盞嗚尊
尊澄
天真宗豊祖父尊様
尊体
足利尊氏
本尊
尊氏
武尊
尊崇
尊王攘夷
唯我独尊
地蔵尊
素戔嗚尊
自尊心
伊弉諾尊
尊公
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