いずく)” の例文
象山また復書を持ちて夷国に到らんと欲す、則ち曰く、「微臣別に謀を伐つの策あり、いずくんぞ風船を得て聖東ワシントンに下らん」と。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
当時私はさる批評家から此の着附けを褒められたものだが、いずくんぞ知らん、これは偕楽園夫人の入れ智慧であつた
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ああ思慮しりょ知識ちしき解悟かいご哲学者てつがくしゃ自若じじゃく、それいずくにかると、かれはひたすらにおもうて、じて、みずか赤面せきめんする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
求といえども則ち邦に非ずや、いずくんぞ方六、七十しくは五、六十にして邦にあらざるものを見ん。赤といえども則ち邦に非ずや、宗廟と会同とは諸侯にあらずして如何せん。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
それに比して「されど人は死ぬれば消え失す、人絶えなばいずくらんや」と歎くのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
思想と恋愛とは仇讐あだなるか。いずくんぞ知らむ恋愛は思想を高潔ならしむる慈母なるを。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いずくんぞそのいつわりにあらざるを知らんや。むしろ智高を失うとも、敢て朝廷をいて功をむさぼらじ』これは道徳的に立派なばかりではない。真理に対する態度としても、望ましいことばでしょう。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
迷いて返るを知らず、罪いずくんぞ逃るべき。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
燕雀えんじゃくいずくんぞ鴻鵠こうこくこころざしを知らんや」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
三分廬を出づ、諸葛んぬるかな、一身らくに入る、賈彪かひょういずくに在りや。心は貫高を師とし、而してもとより名を立つる無く、志は魯連を仰ぎ、遂に難をくの才に乏し。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
迷いて返るを知らず、罪いずくんぞ逃るべき。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
大老これを上につかさどり、間部これを下にたすくるに非ざるよりは、天下の事、いずくんぞここに至らんや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)