威猛高いたけだか)” の例文
楊懐が、威猛高いたけだかに吼えると、関平は彼のふところを探って、秘していた短剣を取りあげた。高沛のふところからも短剣があらわれた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
驚く源吉、威猛高いたけだかに妹をきめ付けようとしましたが、お松はそんな事には馴らされていない様子で、なかなか引っ込みそうもありません。
青筋を立てて威猛高いたけだかに肩を張っている老用人の背後うしろ、陽の届かない薄紫の室内に、煙のようにぼうっと、糸のように細長い人影が立っている。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
若者であって一度この威猛高いたけだかな誇張の態度に身を任せたものは二度と沈潜して肌質きめをこまかくするのは余程難しかった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
湯屋町を少しいったとき、左側の家で女と子供の悲しげに泣く声がした。立ちどまるとそれを圧して威猛高いたけだかにわめくのが聞こえる。三人は思わず首を縮めた。
大物主は威猛高いたけだかに叫んだ。貴族一流の威嚇いかくをもって賤民と蔑視する「獣人」を圧伏しようとするのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
威猛高いたけだかにさえぎろうとしたが、ラスコーリニコフは、熱くなってそれを抑えた。
『やい、この馬鹿野郎! おれが声をからして、よけろっ、阿呆、右へよけろって、あんなに呶鳴ったでねえか! 手前てめえ、酔っぱらってやがるのか?』と威猛高いたけだかに罵る先方の馭者の喚き声を聞いて
ちらりとお見かけした程だから、さほどご重病でもあるまいと、威猛高いたけだかに仰っしゃって、容易にお戻りになる気色もございませんので
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僅に起き上った玉置子爵は、この場の様子に気が付いて、ギョッとした様子でしたが、直ぐ気を換えて威猛高いたけだかにこう怒鳴ります。
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
それを紳士は威猛高いたけだかなところをみせたり下手から煽てたり、磊落らいらくな風を装ったりして使っている様子がちら/\見えていました。娘の方は知らん顔をしていました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「黙れ黙れ卑怯者ひきょうものめが!」浪人者は威猛高いたけだかに叫ぶと一緒に猿臂えんぴを延ばし、相手の腕を引っ掴んだ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いつもの通り、列座同役れつざどうやくの尻押しにいきおいを得て、戸部近江之介はなおも威猛高いたけだかである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あれに、血に飢えている五十の部下がこちらを見て、を欲しがっているのが、眼に見えないか。返辞をしろ」と、威猛高いたけだかにいった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
威猛高いたけだかになるのは、三十五六の浪人、高利の金を貸して、品川一円の憎まれ者になっている、沢屋利助さわやりすけの用心棒、大川原五左衛門おおかわらござえもんという御家人ごけにん崩れです。
威猛高いたけだかに鬼王丸は、馬上に突っ立って声を掛けた。「誰に許されてここには住むぞ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
場所がら、いかついおさむらいが威猛高いたけだかに肩をはり、声を荒らげているのだから、日中用のない近所の女や男衆それに通行の者も加わって、はやまつ川の戸口には人の山をきずいている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
次第に威猛高いたけだかとなっていた。——と、彼方の松林の蔭から、さっきの棗商人なつめあきんどの連中が、どやどやと馳けよってきた。そして口々に
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石川良右衛門は威猛高いたけだかになりました。五十年輩の押しの強さ、銭形平次は危うく踏み止まって陣を立て直します。
「抜け!」と集五郎は威猛高いたけだかである。「ごまかす気だな、卑怯千万!」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぐらい、ちょいと威猛高いたけだかなところを見せたはずだが。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
些細な落度を、威猛高いたけだかののしって、猿をなぐらせたり、蒲団縛ふとんしばりにして飯を食わせなかったりした。だが、そうすればする程、牢内の人気は猿へ傾いて行く気がした。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次は気が立っていたせいもあるでしょう、ツイ日頃にもなく威猛高いたけだかになりました。
「何を!」と薪兵衛は威猛高いたけだかになった。「増長するな、昔とは違う」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
源十郎、眉をつりあげて威猛高いたけだかだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
母がむせびながら「わたしは、吉益にだまされて来たんです」と口走り、父はすぐ「いつ、だました、吉益を呼んで来い」と威猛高いたけだかに云ったのが、いまだに耳に残っている。
聟から岡っ引に戻ったガラッ八は、品吉を縁側に引据えて威猛高いたけだかになります。
「うせやアがれ!」と威猛高いたけだか、忠三どなったものである。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぐっとにらんで威猛高いたけだかになった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「そう尋常じんじょうおおせあるなら、なにも、このほうとて、威猛高いたけだかになる理由りゆうはない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
役人二三人、押っ取り刀で美乃を取巻くと、役目大事と威猛高いたけだかになりました。
一人の武者が威猛高いたけだかに云った。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
四ツ目の銅八の子分衆が、威猛高いたけだかになって野次馬を叱り飛ばしております。
どじょうひげの虚無僧は、飢えている顔に青すじを立て威猛高いたけだかわめいた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
範覚は威猛高いたけだかに怒号した。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
威猛高いたけだかの三人。その頭を押え付けるようにりんとした声が響きました。
すると直閣ちょっかくはかえって威猛高いたけだかとなり、ではそれを見せろと迫った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
造酒は威猛高いたけだかに怒号した。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と両手を自身後ろへ廻して、威猛高いたけだかに云い放った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お勝手にいる爺仁おやじは、恐ろしく威猛高いたけだかです。
と、威猛高いたけだかに怒号した。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その威猛高いたけだかを、義経は、わざと笑くぼで眺めて
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
井上半十郎思わず威猛高いたけだかになります。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「誰だ、威猛高いたけだかに、わめいておるのは」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万七は少し威猛高いたけだかになりました。
と、威猛高いたけだかに卓を叩いてののしッたが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、相国は威猛高いたけだかに命じた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
威猛高いたけだか獅子吼ししくである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵の兵は、威猛高いたけだか
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)