よしみ)” の例文
親戚しんせき朋友ほうゆうの注意すべきことなり。一度ひとたび互に婚姻すればただ双方両家りょうけよしみのみならず、親戚の親戚に達して同時に幾家のよろこびを共にすべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「わがザックセンに日本の公使置かれむをりは、いまのよしみにて、おん身のむを待たむ、」などねもごろきこえさせ玉ふ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「兄を動かすのは、同じ仲間の実業家でなくっちゃ駄目だ。単に兄弟のよしみだけではどうする事も出来ない」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これもとより誠意に出づる所にして、我国の利をはかるにはあらず。それ、平和を行うはねんごろによしみを通ずるに在り。ねんごろによしみを通ずるは交易にり。こいねがわくは叡智を以て熟計し給わん事を。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
古きよしみをつなぐに足るのはの酒のみだよ。
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
よしみ思はば今來り、汝の義兄救ひ出せ
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
眞志屋の末裔ばつえいが二本に寄り、金澤に寄つたのは、たゞに同業のよしみがあつたのみではなかつたらしい。二本は眞志屋文書に「親類麹町二本傳次方」と云つてある。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
かつかぎりある士族の内にて互に縁組えんぐみすることなれば、縁に縁を重ねて、二、三百年以来今日にいたりては、士族はただ同藩のよしみあるのみならず、現に骨肉の親族にして
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あにうごかすのは、同じ仲間なかまの実業家でなくつちや駄目だ。単に兄弟けうだいよしみ丈ではうする事も出来ない」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かくの如く互によしみを通ずる時に当って、独り国をとざして万国と相親まざるは、人のみする処にあらず。 貴国歴代の法に異国の人と交りを結ぶ事を厳禁し給うは、欧羅巴ヨーロッパ洲にてあまねく知る所なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
中津の旧藩にて、上下の士族が互に婚姻こんいんよしみつうぜざりしは、藩士社会の一大欠典にして、その弊害へいがいはほとんど人心の底に根拠して動かすべからざるもののごとし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
わが家もこの国にて聞ゆるうからなるに、いま勢ある国務大臣ファブリイス伯とはかさなるよしみあり。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
然るに嘉永のすえ亜美利駕アメリカ人、我に渡来し、はじめて和親貿易の盟約を結び、またそのよしみを英、仏、魯等の諸国に通ぜしより、我が邦の形勢、ついに一変し、世の士君子
慶応義塾の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
また後に莫逆ばくぎゃくの友となった小島成斎も、はやく市野の家で抽斎と同門のよしみを結んだことであろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わたくしは此「屡蒙寄贈」の四字から、梅泉が竹田によしみを通じて、音問贈遺いんもんぞうゐをなしながら、未だ相見るに及ばなかつたものと推するのである。二人は未見の友であつただらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)