奉仕ほうし)” の例文
「世は戦塵濛々せんじんもうもう九重ここのえおくもなんとなくあわただしく、日ごとご君側くんそく奉仕ほうしに、少しのおひまもないていにお見うけ申しまする」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女が奉仕ほうしの天使の如く突然高樹町のうちあらわれてから六月目むつきめに、主人夫婦は東京を引払うて田舎に移った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼女かのじょ田舎いなかの程度の低い学校を出たばかりで、充分の高等教育を受けなかったので、常に自分の無学を悲しみ、良人に対して満足な奉仕ほうしができないことをなげびた。
真理しんり奉仕ほうしする、野口英世のぐちひでよのようなひとれば、これまで発見はっけん困難こんなんとされた病菌びょうきんとたたかって、人間にんげん恐怖きょうふから、解放かいほうするであろうし、そういう科学者かがくしゃ幾人いくにんれば、どれほど
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
だい奉仕ほうしたゆみなく、一ちやうあまりなるいへより、ゆきにもあめにも朝夕てうせき機嫌きげんきゝおこたらぬこゝろ殊勝しゆしようなり、つまもたずやとすゝむるひとあれど、なんがことたまそれよりはぢやうさまのうへづかはしゝ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わしは、朝暮ちょうぼに、御座みざちかく奉仕ほうししているので、まのあたりにそのおんなやみをみて、なみだのたえぬくらいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま彼女たちがおどしだにでつくっている、具足ぐそくまく旗差物はたさしものや、あるいは革足袋かわたび太刀金具たちかなぐ刺繍ししゅう染物そめものなどの陣用具じんようぐは、すべてそれ小太郎山こたろうざんのとりでへおくるべきうつくしい奉仕ほうしだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)