大目おおめ)” の例文
「そうか。よし、それでみんな判った。いや、まだ判らねえところもあるが、そこはまあ大目おおめに見て置く」と、半七は云った。
半七捕物帳:27 化け銀杏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お父さんだって大目おおめに見てくれますよ、とお台所のあとかたづけをしながら、たいへん意気込んでおっしゃるのです。
千代女 (新字新仮名) / 太宰治(著)
不幸ふこうな子だとおもって、大目おおめておいてやったのだが、なんとがもないかあさんや、きょうだいをのろうといては、ててはおけない。出ていけ。」
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
引捕ひきとらえて、れが罪人でございとえば、如何いかに優しい大目おおめな政府でもただ見ては居られない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
僕は二時頃まで、ちょいと寝たいんだ、あとからウンとおごってやるから大目おおめに見るんだぜ。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なに御道おみちめとあれば、わたくしぞんじてかぎりは逐一ちくいち申上もうしあげてしまいましょう。はなしすこかとうございまして、なにやら青表紙臭あおびょうしくさくなるかもぞんじませぬが、それは何卒なにとぞ大目おおめ見逃みのががしていただきます。
女に似あわない大酒は、こういう商売の者として大目おおめにも見られたのであるが、そのほかに誰にもゆるされないのは、かれの手癖の悪いことであった。
半七捕物帳:23 鬼娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
実際の真面目しんめんぼくを言えば、常にく夜を守らずして内を外にし、ややもすれば人を叱倒しかりたおし人を虐待するが如き悪風は男子の方にこそ多けれども、其処そこ大目おおめに看過して独り女子の不徳を咎むるは
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そちたち今正いままさにその修行しゅぎょう真最中まっさいちゅうすこくらいのことは大目おおめ見逃みのがしてもやるが、あまりにそれにはしったが最後さいご結局けっきょく幽界ゆうかい落伍者らくごしゃとして、亡者扱もうじゃあつかいをけ、いくねんいくねん逆戻ぎゃくもどりをせねばならぬ。
折りおりには新宿の遊女屋遊びをしたりするのを主人が大目おおめに見ているのも、亡父の忠義を忘れない為であろう。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし身分が身分ですから、まあ大抵のことは大目おおめに見ているんですが、今度の一件は三千石の大家たいけの当主が死んでいるんですから、かみでも捨て置かれません。
だが、こいつらがおとなしく手を引いて、これっきり丸多へ因縁を付けねえということになれば、まあ大目おおめに見て置くほかはあるめえ。何事もこの後の成り行き次第だ
半七捕物帳:50 正雪の絵馬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まあ大目おおめに見逃がして置いてやると、こんな飛んでもない騒ぎを仕出来しでかしてしまったんです。
半七捕物帳:34 雷獣と蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まあ、ちっとぐらいのことは大目おおめに見てやる方がいいぜ。若い者のこった、ちっとは面白いこともなけりゃあ稼ぐ張り合いがねえというもんだ。阿母だって覚えがあるだろう。
半七捕物帳:07 奥女中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それが、そもそもの始まりで、自棄やけも手伝って道楽をする。それでも主人が大目おおめに見ているので、だんだんに増長して和泉屋乗っ取りを企てる事になりました。その場合、あなたならどうします
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)