大悦おおよろこ)” の例文
もうし上げます。町はもうすっかり掃除そうじができてございます。人民じんみんどもはもう大悦おおよろこびでお布令ふれたずきれいに掃除そうじをいたしました」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そうして……と思うむねを半分報知しらせてやれば母親は大悦おおよろこび、文三にはお勢という心宛こころあてが出来たことは知らぬが仏のような慈悲心から
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
珠子は、果して大悦おおよろこびだった。私の予期した以上の悦び方だった。私の両手を握って見較みくらべ、以前よりも艶々つやつやしてきたと褒めた。
大脳手術 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうするとやがてそこから鼠が顔を出してただ今は有難ありがとうございました。みんな大悦おおよろこびで、どうか御礼を申したいといいます。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
研究会の人々に話せば一同が大悦おおよろこびするだろう、どうだね大原君が一つ海外へ出かけてくれまいかとこういう子爵のお話しさ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
すると宿主やどぬし珊瑚虫さんごちゅうはブツブツ言いながら身をちぢめますが、蟹は大悦おおよろこびで外へ出ます。青い青い広い海は、ところどころ白いあわを立てております。
椰子蟹 (新字新仮名) / 宮原晃一郎(著)
その百姓は大悦おおよろこびで夫婦そろってもらいに来たそうだが、生まれた子供の顔を見ると、さすがに手放せなかったそうだ。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それは大悦おおよろこびだろう。お前のとこでも、子が幾人いくたりも死んで、随分不幸つづきだったナ。しかし世の中のことは、何でも深く考えては不可いけない。淡泊に限る。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
加藤の家へも梅干飴うめぼしあめを持って帰ってやると、老人じいさん老婆ばあさん大悦おおよろこびで、そこの家でも神棚かみだなに総燈明をあげて、大きな長火鉢を置いた座敷が綺麗きれいに取りかたづけられて
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
どうだう云うけであるから接待せぬかと云うと、義勇兵は大悦おおよろこびですぐに用意が出来た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
与八は大悦おおよろこびで
キッコはもう大悦おおよろこびでそれをにがにがならべて見ていましたがふと算術帳と理科帳と取りちがえて書いたのに気がつきました。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
これには痣蟹就縛しゅうばく大悦おおよろこびだった雁金検事や大江山捜査課長をはじめ検察官一行は、網の中の大魚を逃がしたように落胆した。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きっと貴嬢あなたの事を申してりましたから大悦おおよろこびでどんな人だか早く顔が見たいと老人の気忙しく、取るものも取りあえず向うを出たのでしょう。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そういう中でも鼹鼠もぐら駆除のなまこ引き以上に、もっと子どもが大悦おおよろこびで引きうけた役目は鳥追とりおいで、その日の面白さは、白髪しらがになるまで忘れずにいる者が多いのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「いや、大悦おおよろこびでありました。工藤上等兵と来たら、生命を投げだすようなことは、真先まっさきに志願する兵でありまして……」
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今までは和女の事を何ともそういってらなかったから満も帰る気にならなかったろうが、今度始めて和女の事をそういって遣ったからきっと大悦おおよろこびで帰って来るよ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そこで私ははっと気がつきました。こののろしはちん氏があげているのだ、陳氏が支那式黄竜の仕掛け花火をやったのだと気がつきましたので、大悦おおよろこびでみんなにも説明しました。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
むしろ、工藤が邪魔になって仕方がないくらいであったが、それに反して、工藤はとても大悦おおよろこびであった。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きっと満が大悦おおよろこびだよ。だけどもこんなに大勢が急に押かけて往ったら泊る処があるかしらん。東京の家は田舎いなかのように広くないから寝る事も出来ない様では困りますねー
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「ほう、おら一等だぞ。一等だぞ。」とかわるがわるさけびながら大悦おおよろこびで門をはいって来たのでしたが、ちょっと教室の中を見ますと、二人ともまるでびっくりして棒立ちになり
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
犬はもう大悦おおよろこびで木の下に行って木のまわりをはげしくせめぐった。
なめとこ山の熊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
玉江嬢「それはモー大悦おおよろこびでうかがいます。 ...
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
百姓ひゃくしょうの家には、こぼれて砂の入った麦やあわや、いらない菜っ葉や何か、たくさんあるんだ。又甘藍キャベジや何かには、青むしもたかる。それをみんな鶏に食べさせる。鶏は大悦おおよろこびでそれをたべる。卵もうむ。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)