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困
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かう
借りしも
二度三度車夫亦道に
委しからずやあらん
未だ
此職に
馴れざるにやあらん
同じ
道行返りて
困じ
果てもしたらんに
強くいひても
辭しもせず
示すが
儘の
道を
取りぬ
遁れなんとせども惡者承知せず彼是
言ふうち其
骨柳渡せと手を掛るに傳吉今は一生懸命右を
拂へば左より又た一人が
腕首を
確かと取て
動かせず
困じ
果たる折柄此處に來たる旅人あり此有樣を
是は
何とせんと
困じ
果てゝ、
垣根の
際よりさしのぞけば、
今しも
雲足きれて
新たに
照らし
出す
月の
光りに、
目と
目見合して
立たる
人、
何時の
間に
此所へは
來て、
今まで
隱れてゞも
居しものか