囂々がう/\)” の例文
二等煉瓦のちまたには行人既にまれなるも、同胞新聞社の工場には今や目もふばかりに運転する機械の響囂々がう/\として、明日あすの新聞を吐き出だしつゝあり、板敷の広き一室
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
今朝、漁師急馳して海に出で、村媼そんあう囂々がう/\として漁獲を論ず。ひるを過ぐる頃、先づかへるの船は吉報をもたらし来る。之に次ぐものは鰹魚を積んで帰り、村中の老弱海浜にあつまる。
客居偶録 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
群集ぐんしふたゞ囂々がう/\として混亂こんらんしたひゞきなか騷擾さうぜうきはめた。ちからかくごとくにして周圍しうゐ村落そんらくをも一つに吸收きふしうした。しかしながら、群集ぐんしふ勘次かんじにはかへりみようとはしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此爭論囂々がう/\の際に當て、帝室が左を助る歟、又は右を庇護する等の事もあらば、熱中煩悶の政黨は、一方の得意なる程に一方の不平を増し、其不平の極は帝室を怨望する者あるに至る可し。
帝室論 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
会衆は再び騒ぎ立てり「畜生」「馬鹿野郎」「除名せよ」「斬つて仕舞へ」等の声は一隅より囂々がう/\と起れり「誣告ぶこく」「中傷」「証拠を示せ」等の声は他の一隅より喧々けん/\と起れり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
うしろはやしやゝ俛首うなだれたたけ外側そとがはがぐるりとかれて變色へんしよくしてたのがかれえいじた。それとともかれとなりもりなか群集ぐんしふ囂々がう/\さわぐのをみゝにして自分じぶんいまなんため疾走しつそうしてたかをこゝろづいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
神田美土代町みとしろちやうなる青年会館の門前には、黒山の如き群集の喧々けん/\囂々がう/\たるを見る
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)