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たんしん
彼は、
單身山又山を
分けて
行く
新しい
知己の
前途を
思つた。
蜀道磽确として
轉た
世は
嶮なるかな。
お
絹には
出逢はなかつた。
當り
前である。
僕は
其翌日降り
出しさうな
空をも
恐れず
十國峠へと
單身宿を
出た。
宿の
者は
總がゝりで
止めたが
聞かない、
伴を
連れて
行けと
勸めても
謝絶。
余は
此時、
探檢服の
輕裝で、
手に
龕燈を
携へて
居た。
中に
入るのは
危險であらうが、
龕燈の
光を
射し
向けて、
入口から
内部を
照らし
見るには
差支へなからうと
考へ、
單身横穴の
入口まで
進んだ。