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唸声
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うなりごえ
ふりがな文庫
“
唸声
(
うなりごえ
)” の例文
つづいて物の倒れる音、罵る音、叫ぶ声、最後に喉でも突き刺されたような恐ろしい、物凄い、荒々しい悲鳴、
唸声
(
うなりごえ
)
がする。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
其
(
そ
)
の水音に消されて、今までは誰も
聞付
(
ききつ
)
けなかったが、
何処
(
どこ
)
やらで
微
(
かすか
)
な
唸声
(
うなりごえ
)
が聞えるようである。巡査は
忽
(
たちま
)
ちに耳を
欹
(
そばだ
)
てた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
身動
(
みうごき
)
を
仕
(
し
)
たくも、不思議なるかな、
些
(
ちッ
)
とも出来んわい。其儘で暫く
経
(
た
)
つ。
竈馬
(
こおろぎ
)
の
啼
(
な
)
く
音
(
ね
)
、蜂の
唸声
(
うなりごえ
)
の外には何も聞えん。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
樋
(
ひ
)
の
破目
(
われめ
)
から漏れおちる
垂滴
(
すいてき
)
の
水沫
(
しぶき
)
に、光線が美しい虹を
棚引
(
たなびか
)
せて、
凧
(
たこ
)
の
唸声
(
うなりごえ
)
などが空に聞え、乾燥した浜屋の前の往来には、よかよか
飴
(
あめ
)
の太鼓が子供を呼んでいた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
眺めがよいというのではありませんが、あの
頻繁
(
ひんぱん
)
に目の前を汽車が往復した家とは比較になりません。ただ
夜更
(
よふけ
)
には動物園の猛獣の
唸声
(
うなりごえ
)
がすると、女中たちはこわがりました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
▼ もっと見る
ある晩、彼は小供の寝る夜具の
裾
(
すそ
)
に
腹這
(
はらばい
)
になっていたが、やがて、自分の
捕
(
と
)
った魚を取り上げられる時に出すような
唸声
(
うなりごえ
)
を
挙
(
あ
)
げた。この時変だなと気がついたのは自分だけである。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ウウウウ……」何とも云えぬ気味の悪い
唸声
(
うなりごえ
)
がしたかと思うと、T氏がヌッと椅子から立上って、バッタリと床の上へ倒れた。そして、手足をバタバタやりながら、
苦悶
(
くもん
)
し始めた。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ウームと恐ろしい
唸声
(
うなりごえ
)
がして私の目の前に大きな身体がドサリとぶったおれた。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、見る間に虎の
唸声
(
うなりごえ
)
が聞えて、老人の顔には真赤な血がかかった。
虎媛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
巡査は慌てて
飛退
(
とびの
)
くと、石は
傍
(
かたえ
)
の岩角に
中
(
あた
)
って、更に跳ね返って
彼
(
か
)
の𤢖の上に落ちた。𤢖の
傷
(
きずつ
)
ける顔は更に
微塵
(
みじん
)
に砕けて、怪しい
唸声
(
うなりごえ
)
は止んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
唸声
(
うなりごえ
)
は
顕然
(
まざまざ
)
と近くにするが
近処
(
あたり
)
に人が居そうにもない。はッ、これはしたり、何の
事
(
こッ
)
た、おれおれ、この俺が
唸
(
うな
)
るのだ。微かな情ない声が出おるわい。そんなに痛いのかしら。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
ウウウーと、物凄い
唸声
(
うなりごえ
)
をあげて、真赤な消防自動車が、砲弾のように坂を駈け上っていった。
麻布
(
あざぶ
)
の方に、烈々たる火の手が見える。防毒面をつけた運転手は、防毒面の下で
半泣
(
はんなき
)
になっていた。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蒸暑い夏の或真夜中に、お島はそこらを
開放
(
あけはな
)
して、
蚊帳
(
かや
)
のなかで寝苦しい体を
持余
(
もてあま
)
していたことがあった。
酸
(
す
)
っぱいような蚊の
唸声
(
うなりごえ
)
が
夢現
(
ゆめうつつ
)
のような彼女のいらいらしい心を
責苛
(
せめさいな
)
むように耳についた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
次に変な
唸声
(
うなりごえ
)
を聞いた。
江川蘭子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
微
(
かすか
)
な
唸声
(
うなりごえ
)
が左の隅に聞えたので、彼は
其方
(
そのほう
)
へ探って行くと、一枚の
荒莚
(
あらむしろ
)
が手に触れた。莚を
跳退
(
はねの
)
けて進もうとすると、何者か
其
(
その
)
莚の
端
(
はし
)
を固く掴んでいるらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
唸
漢検1級
部首:⼝
11画
声
常用漢字
小2
部首:⼠
7画
“唸”で始まる語句
唸
唸音
唸呍
唸呻
唸独楽