そう)” の例文
その中にあって雪のように白い猩々卯ノ丸の姿というものは、卯の花が円くそうをなして、そこに花咲いているようであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
耳の穴から石菖せきしょうのような根づよい黒毛がそうをなして突出している。いささか国事の難を託するに足る人かとおもった。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、子ともきに寫眞しやしん沿革えんかくから撮影さつえい現像げんぞう、燒つけほう、それに簡單かんたん暗箱あんはこつくり方までを説明せつめいしてある。たしか博文館はくぶんくわんはつ行のせう理科りくわそう書の一さつだつたかとおもふ。
われはこれに從はんと欲して、ふとかうべめぐらしゝに、我がりたりし柱の背後うしろに、身を薫高き「ミユルツス」のそうに埋めて、もろ手をうなじに組み合せたる人あるを見き。
空気きとおりたれば、残るくまなくあざやかに見ゆるこの群れの真中まなかに、馬車一輛とどめさせて、年若き貴婦人いくたりか乗りたれば、さまざまの衣の色相映じて、花一そう、にしき一団
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
稍〻やゝ高き林木の間に、屋瓦のそうを成せるはアンナア、カプリイの小都會なり。一橋一門ありてこれに通ず。一行は棕櫚しゆろの木立てるパガアニイが酒店の前に歩を留めつ。
いまは敵の深いはかりごととさとって、彼は身を以てのがるるほかなく、天水郡へ向って落ちてゆくと、一ぴょうの兵馬がと共に道にひらき、たちまち見る一そうの森林からは、鶴氅綸巾かくしょうりんきんの人孔明
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて李家荘りかそうをあとに、急ぐこと八、九十里、一そうの雑木林の中にかかった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たちまち一そうの林のうちから、鼓鉦こしょうときの声があがって
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)