双子ふたご)” の例文
それこそ、自分たちが、秩父の神楽堂かぐらどうの下から双子ふたごの高原まで追いつめて行って、遂に迫ることのできなかった日本左衛門ではないか。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
双子ふたごと千枝子は揃ひの人形、滿と健と薫はバロンのたま、晨は熊のおもちや、榮子は姉達のより少しちいさいだけの同じ人形を貰つた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
一人は素肌に双子ふたごあわせを着て一方の肩にしぼり手拭てぬぐいをかけた浪爺風あそびにんふうで、一人は紺の腹掛はらがけ半纏はんてんを着て突っかけ草履ぞうりの大工とでも云うような壮佼わかいしゅであった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
つまり双子ふたご星座様は双子星座様のところにレオーノ様はレオーノ様のところに、ちゃんとさだまった場所でめいめいのきまった光りようをなさるのがオールスターキャスト、な
ひのきとひなげし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ふ、ふ、ふ、お前には綿銘仙めんめいせんの羽織か、双子ふたごの綿入あたりが相当しているよ、どこのおたんちんが、こんなゾロリとしたお仕着しきせを、ほかならぬ金公にかぶせてやる奴があるものか」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それから又「双子ふたご」と云ふ小説がある。これはごく短い物ですが、双子が一人ひとりになつてしまふ。——と云つたのでは通じないでせう、双子が体は二つあつても、たましひは一つになつてしまふ。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
伝三郎の言を借りると、「うちの女房かかあ双子ふたご産みくさった様な気持がした」のだ。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
代助のちゝには一人ひとりあにがあつた。直記なほきと云つて、ちゝとはたつた一つ違ひの年上としうへだが、ちゝよりは小柄こがらなうへに、顔付かほつき眼鼻立めはなだちが非常にてゐたものだから、知らない人には往々双子ふたごと間違へられた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
寒玉子かんたまご割れば双子ふたご目出度めでたさよ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
従妹いとこの影を見て双子ふたごは一緒に出て行つた。晨も行つてしまつた。お照が榮子を抱いて来た。泣いたあとらしく榮子の頬がぴりぴりと動いて居る。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
双子ふたごさん。どうかかまわないで下さい。あんまりこいつが恩知らずなもんですからね。」
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
では気がついて、先でもちゅうを飛んでいるのかと思うと、決してそうではないようです。彼は相変らず、その高原の一すじ道を、急ぎもせぬ足どりで双子ふたご山間やまあいへ向っています。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人は双子ふたごでありました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
元禄袖の双子ふたごは一つとし下の従妹いとこを左右から囲んで坐つた。暫く直つて居た榮子の頬のふるへが母の膝に抱かれるのと一緒にまたはげしくなつてきた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「あれきっと双子ふたごのお星さまのお宮だよ。」男の子がいきなり窓の外をさしてさけびました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あれから双子ふたご山間やまあいへ姿を消したので、それを追いつつ来るうちに、いつかこの高麗の郷へ下って来た三人でしたが、その土地も家も気づかずに訪れた屋敷が、月江や次郎の住む所であろうとは
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あれきっと双子ふたごのお星さまのおみやだよ」男の子がいきなりまどの外をさしてさけびました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ぼくも知ってらい。双子ふたごのお星さまが野原へあそびにでて、からすと喧嘩けんかしたんだろう」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「はなしてごらん。双子ふたごのお星さまが何をしたっての」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
双子ふたごの星 二
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)