勘忍かんにん)” の例文
剥出むきだし是サ此子はこはい事はない此伯父と一所に歩行々々あゆめ/\引摺ひきずり行を娘はアレ/\勘忍かんにんして下されませ母樣かゝさまが待て居ますと泣詫なきわびるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
が、勘忍かんにんぶくろのが切れた。じぶんは、どうなってもよかった。乱心といわれても、切腹でも、そんなことは、かまっていられなかった。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「もう、旦那だんなさん、勘忍かんにんして下さい。ホンのこの坊ちゃん達のいたずらだ。悪気わるぎでしたのじゃありません。いい加減に、勘忍してあげておんなさい。」
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
だが、法信、勘忍かんにんしてくれよ。今のわしの話した蝋燭の一件は、あれはわしがとっさの間にこしらえた話だよ。
死体蝋燭 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「アレエ、勘忍かんにんして。誰にも云わない。あんたが下手人だなんて、決して云わない。勘忍して。勘忍して」
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「お母さんにもすまなかったわね。勘忍かんにんしてね。兄さんにも、宜しくいって。それから、皆の人にも。」
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
これしからん事をするものだな、どうか勘忍かんにんしてやつてれまいか。亭「いや勘忍かんにん出来できません、れをたすけるとほかつて喋舌しやべるからいけません……おかんきましたよ。 ...
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
もしもし、馬の脚だけは勘忍かんにんして下さい。わたしは馬は大嫌だいきらいなのです。どうか後生ごしょう一生のお願いですから、人間の脚をつけて下さい。ヘンリイなんとかの脚でもかまいません。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もう勘忍かんにんしてくれ、おまへのためにくるしみぬいてゐる、そのごゑ殺人的さつじんてきだ。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
(文造)勘忍かんにんしてくれと仰しやつても、そりやあ困ります。
勘忍かんにんならずと常陸ひたちへ押寄せたのであつたらう。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「次郎ちゃん。勘忍かんにんなさいね。」
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「僕が悪い。勘忍かんにんして下さい」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「うむ! きゃつら十七人がはらを合わせ、一人の拙者をなぶりになぶり、拙者もついに勘忍かんにんぶくろのを切って、事こんにちに到ったのだッ!」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
半四郎は振拂ひゆかんとすれば雲助共は追取卷おつとりまきどつこいにがして成ものか此小童このこわつぱめどうするか見ろいのちをしくば酒代さかてを置て行とふところへ手を入れければもう勘忍かんにんはならずと半四郎は其腕を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「お父様とうさま、お母様かあさま、どうか勘忍かんにんして下さいまし。」
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「おとうさん、勘忍かんにんして下さい。——」
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)