ちょく)” の例文
永楽帝のこの報を得るや、宋晟そうせいちょくして儆備けいびせしむるのみならず、備えたるあること知りぬし。宋晟は好将軍なり、平羌将軍へいきょうしょうぐん西寧侯せいねいこうたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
爾来じらい、天平の盛時、諸国に国分寺がたち、聖武天皇が大仏の鋳造ちゅうぞうちょくして、天下の富をたもつ者はちんなり、天下の勢力をたもつ者も朕なり、堂々宣言のある日まで
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「まあ、まあ。さかずきは下におけ。そう酒ばかりすすめんでもよい。このたびの下向げこうにとっても、重大なちょくの勤め。さきに飛脚しておいたくだ令状ぶみも見たであろうが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
豊後・肥前・日向等の『風土記ふどき』に、土蜘蛛つちぐも退治の記事の多いことは、常陸・陸奥等に譲りませず、更に『続日本紀しょくにほんぎ』の文武天皇二年の条には太宰府だざいふちょくして豊後の大野、肥後の鞠智きくち
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
聖武上皇からは鑑真に対して、自今戒授伝律の職はいつに和尚にまかすというようなちょくが下る。やがて東大寺大仏殿前に戒壇を築いて、上皇以下光明后・孝謙女帝などが真先に戒をうけられる。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
既にして更に西園寺さいおんじ侯爵こうしゃくもまたちょくを帯びて渡韓したりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
天皇すめらぎは神にしますぞ天皇のちょくとしいはばかしこみまつれ
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
むかし楠木正行くすのきまさつらが吉野の宮居みやい弁之内侍べんのないじたまわるとのちょくを拝辞してんだという和歌である。時と人こそちがえ、人々は幸右衛門の心根を充分にみとることができた。
聖武天皇即位六年の後、五位以上、諸司の長官を内裏だいりに集めて、光明皇后冊立をちょくせられたが、他に何人かの意志があったにしても、最も多く聖武天皇の意志であったに相違ない。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
よって其の護衛を削り、其の指揮宗麟そうりんちゅうし、王を廃して庶人となす。又湘王しょうおうはくいつわりてしょうを造り、及びほしいままに人を殺すを以て、ちょくくだして之を責め、兵をってとらえしむ。湘王もと膂力りょりょくありて気を負う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ちょくです。——つつしんで、うけたまわられい」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)