効目きゝめ)” の例文
旧字:效目
産婆さんばほそ硝子がらすくだやうなものをつて、さいくちなかつよ呼息いきをしきりにんだが、効目きゝめまるでなかつた。うまれたものは肉丈にくだけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
清祓式をつてはみるが、一向効目きゝめが無くて狂人きちがひは殖えるばかりなので、いつそ大社教の管長様を迎へたらといふ事になつて、さてこそ千家管長の乗込みになつた。
果してさういふ風にあの湯が効目きゝめがあるか何うか。それは知らないけれども、細君同伴で一まはりも湯治して来れば、屹度子供が出来るなどゝ言つたものであつた。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
こんなやり方では出して貰へないことがよくわかつたゞらうね。私は小細工こざいくは大嫌ひだよ。殊に子供がするなんて。計略は効目きゝめのないことを、私はお前に教へてやらねばならない。
富樫 僕は、誰に頼まれたわけでもないんですが、ふるくからのよしみもあり、見るに見かねて再三忠告めいたことを云つてみたんです。全然効目きゝめがありません。丸で子供扱ひにされて駄目です。
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
色こそ白くはならなかつたが、面皰のはうには十分効目きゝめがあつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
此処の湯は、女の病気にも非常に効目きゝめがあるといふことであつた。従つて浴客が常に絶ゆることがなかつた。それから伯耆はうきに入つて、東郷湖畔に東郷温泉があつた。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
醫者いしやまた自分じぶんもちひたねむぐすり比較的ひかくてきあたらしいもので、學理上がくりじやう睡眠劑すゐみんざいやう有害いうがいでないことや、またその効目きゝめ患者くわんじや體質たいしつつて、程度ていど大變たいへん相違さうゐのあることなどをかたつてかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)