前々ぜん/\)” の例文
前々ぜん/\より述べきたりしが如き衣服いふく飮食いんしよくを採り、竪穴に住ひ、噐具を用ゐたる人民じんみん、即ちコロボックル、の日常生活にちじようせいくわつは如何なりしか
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
友「それはお村に惚れているので、前々ぜん/\から私をだまして百両を三百両にしてお村を取上げ、私は半分死んで居ります」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さうして挿絵さしゑ桂舟けいしう担当たんとうするなど、前々ぜん/\の紙上から見るとすこぶ異色いしよくを帯びてました、ゆえこれだいる、我楽多文庫がらくたぶんこ生命せいめいだいまたしばら絶滅ぜつめつしたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
やがて参りましたは前々ぜん/\から申し上げました西浦賀の女郎屋の弟息子、芸者小兼の情夫おもいおとこ江戸屋半治が兄の半五郎という、同所では親分筋、至って侠気おとこぎのある男ですから
さて雑誌を出すについては、前々ぜん/\から編輯へんしうはう山田やまだわたしとが引受ひきうけて、石橋いしばしもつぱ庶務しよむあつかつてたので、三人さんにん署名人しよめいにんとして、明治十九年の春にあらためて我楽多文庫がらくたぶんこ第壱号だいいちがうとして出版した
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わちきは母と一緒に上野の先のという処へ参りましたは、前々ぜん/\勤めていた家来のうちで有りますから、そこへ往って暫く厄介になって居ます内に、母がわずらい付きましたが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ついては嬢さんをお助けなすった大夫は、身柄は小兼にお聞きになれば分りますが、前々ぜん/\は今お話しの金森家の重臣で、千石あまりをお取り遊ばしたお方で、主家しゅうかの通りの大変で
顔を土足で蹴附けつけられた時、あゝ悪い事をしたと始めて夢の覚めたる如く心付きまして、段々前々ぜん/\の悪事を思えば思う程、吾身わがみながら如何なればこそかる非道の行いを致したか
友「企んだって企まないってそれ程とは存じません、門弟衆にはお旗下はたもともあり、お歴々もあるから、よもやそんな真似はしようとは思いませんが、前々ぜん/\からお村に惚れていた故だましたのです」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はて分らん事で……確か梅三郎の乳母と云う者は信州の善光寺にいるという事を聞いたが、梅三郎に逢ったら少しは手掛りになる事もあろうと考えまして、前々ぜん/\勤めていた喜六という山出し男は
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
豊「しかれば其の方は前々ぜん/\何処いずくの藩中である、主名しゅめいを申せ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)