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ききうで
ふりがな文庫
“
利腕
(
ききうで
)” の例文
と飛んで出た御家人崩れの勘弁勘次、苦もなく
利腕
(
ききうで
)
取ってむんずと伏せる。味噌松は赤ん坊のような泣声を揚げた。彦兵衛は起き上って
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その右の手には、早くも
匕首
(
あいくち
)
が光っていた。が、与四郎は、軽捷な忠直卿にわけもなく
利腕
(
ききうで
)
を取られて、そこに捻じ伏せられてしまった。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
弱音をあげようとするのを取っちめて、男の
髷
(
まげ
)
の先を握ったまま、三五兵衛はそれを畳へ抑えつけたが、ぐっと、その
利腕
(
ききうで
)
の入墨をめくって
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
途端に早くも兵馬は、この者の
利腕
(
ききうで
)
を取ろうとして、案外にもそれが、フワリとして手答えのないのに、ハッとしました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それと同時に、かれの
利腕
(
ききうで
)
を取ろうとした一人の手先はあっと云って倒れた。松蔵はふところに呑んでいた短刀をぬいて、相手の
横鬢
(
よこびん
)
を斬り払ったのであった。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
地には落さじとやうに
慌
(
あわ
)
て
愺
(
ふため
)
き、油紙もて承けんと
為
(
せ
)
る、その
利腕
(
ききうで
)
をやにはに
捉
(
とら
)
へて直行は
格子
(
こうし
)
の外へ
㩳
(
おしだ
)
さんと為たり。彼は
推
(
おさ
)
れながら格子に
縋
(
すが
)
りて
差理無理
(
しやりむり
)
争ひ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
隣席の五十坂を越したと思う男が、
年齢
(
とし
)
の割には素晴らしい
強力
(
ごうりき
)
で、弦吾の
利腕
(
ききうで
)
をムズと押えた。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は危険を感じて身を
捻
(
ひね
)
り、伸びて来た相手の
利腕
(
ききうで
)
を掴んだ。その手は懐剣を持っていた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
不思議さのあまり呆然そこに佇んでいると、不意に背後から私の
利腕
(
ききうで
)
をぐッと掴んだものがあります、
愕
(
おどろ
)
いて
振顧
(
ふりかえ
)
ると見も知らない男が私の方を睨みつけながら、ぐいぐい腕を引張ります。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
「何しやがるんだ!」銭占屋が横合からむんずと万年屋の
利腕
(
ききうで
)
を抑えた。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
しかし今は組み打ちの白兵戦です。イエスはたちまち敵の
利腕
(
ききうで
)
を取って
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
春樹はその背後に近づき、ちょっと突当るや、目にも止まらぬ早さで、ダイヤのピンを抜き取り、しっかと握ったままその手を外套のポケットに突込んだ、それと同時に、彼の
利腕
(
ききうで
)
はぐいと掴まれた。
梟の眼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
その
利腕
(
ききうで
)
取って、やにわに濠の中へほうり込んで、さっと走り出しました。あとで、仲間どもが天地のひっくり返るほど
喚
(
わめ
)
き出したのも聞捨てに——
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして、
無碍
(
むげ
)
に
利腕
(
ききうで
)
をねじあげようとするのを、お綱は振り払って、お十夜の影へサッと小太刀の光を投げた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
間一髪千之はひらりと体を
捻
(
ひね
)
ると、苅田の
利腕
(
ききうで
)
を逆に取って
捩上
(
ねじあ
)
げ、腰車にかけて
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
声が出なくなった佐々は、博士のために遂に
利腕
(
ききうで
)
を逆にとられて、床の上にお辞儀をしたような恰好になった。ヒイヒイ云っている彼の右耳からは、赤い血がタラタラと流れている様子だ。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
利腕
(
ききうで
)
にも利かない腕にも一本しかないから、思いがけなく持たせられたこの一物が、相当に荷厄介にはなるらしい。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
もかくやの
形相
(
ぎょうそう
)
で、大きな
唇
(
くちびる
)
へやい歯をかませた呂宋兵衛は、いきなり民部の
利腕
(
ききうで
)
をひとふりふって、やッと一
声
(
せい
)
、
壇
(
だん
)
の上から大地へ投げつけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右の
利腕
(
ききうで
)
を取られている金助は、この時ガーッと
咽喉
(
のど
)
を鳴らして、米友の面上めがけて吐きかけようとしたから
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お綱は
利腕
(
ききうで
)
を取られ、万吉は万吉でその
襟
(
えり
)
がみをつかまれたまま、
否応
(
いやおう
)
なくそこへ取り囲まれてきた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを心得た兵馬は
逸早
(
いちはや
)
くその武家の
利腕
(
ききうで
)
を抑えると、意外にもそれは女のように軟らかな手先であります。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
強く、孫兵衛の
利腕
(
ききうで
)
をとって、いたいけな角兵衛獅子の
姉弟
(
ふたり
)
を、かばうように左の手で後ろに寄せた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
森啓之助は中央に立って、かれの
利腕
(
ききうで
)
をねじ上げた。新吉は原士に襟がみをつかまれてすくんでいる。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども、右の方の十手によって、被った笠が叩き落されて、その
利腕
(
ききうで
)
を取られていたのです。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
バラバラと玄蕃を取り囲んだ
徒士
(
かち
)
侍が、否応なく折重なって、両の
利腕
(
ききうで
)
をグッと抑えとってしまった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、郁次郎が、そばの刀に手をのばすまに、東儀は駈けこんで、その
利腕
(
ききうで
)
を、ぐいと捻じ上げた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとより、お十夜を
抉
(
えぐ
)
るには
技
(
わざ
)
が足らず、風を
孕
(
はら
)
んだ袖うらが、空しく、ヒラ——と流れたのみ。途端にかいくぐった孫兵衛、その
利腕
(
ききうで
)
をねじとッて、左手で女の
喉
(
のど
)
をせめつける。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俊基の装束の
石帯
(
せきたい
)
をつかんで引き起すやいな、またすばやく、その
利腕
(
ききうで
)
をねじ上げて
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おいッ、なぜ来ないかッ」と
利腕
(
ききうで
)
をねじ上げた者がある。見ると、森啓之助だ。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
色を隠してさあらぬ様子、取られた
利腕
(
ききうで
)
を預けたままで
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
枕元から立ちかける銀五郎の
利腕
(
ききうで
)
をムズと
捻
(
ね
)
じ上げて
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と一
喝
(
かつ
)
して、お綱の
利腕
(
ききうで
)
をねじ上げてしまった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
利
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
腕
常用漢字
中学
部首:⾁
12画
“利腕”で始まる語句
利腕捉